私の正体は? ―鑑定刀 第八回【問題】
【第八回:一振目】
刃長二尺三寸六分九厘 反六分六厘 元幅一寸一分 先幅七分
棟重ね二分四厘 鎬重ね二分五厘
鎬造。庵棟。身幅広く重ね厚い。反りやや高く中鋒延びごころ。堂々たる姿。
地鉄は小板目肌詰み澄んで冴える。地沸が微塵について地景脈打つように入る。
刃文、帽子は刀絵図の通り。
刃文は浅い湾れに互の目、小互の目、尖りごころの刃を交える。刃縁に白雪のような沸がついて明るい。元から先まで長く太い金線・砂流しが激しくかかる。こういう金線・砂流しを芋蔓と呼ぶ人もいます。
帽子は沸づく。浅く乱れ込んで小丸に返る。
茎は生ぶ。剣形。浅い勝手下がり鑢。目釘穴は1個。差表の鎺下に家紋(身分の高い人から特別に拝領したようです)、目釘穴下、鎬筋に沿って五字銘(下二字は名前、上三字は任官銘)。差裏の目釘穴のすぐ上から鎬地に沿って年紀が刻されている。
【第八回:二振目】
刃長一尺一分三厘 反り九厘
元幅九分七厘 重ね一分八厘
彫刻 表 真倶利迦羅 裏 護摩箸・蓮台
庵棟。身幅広く、反りと重ねは控えめ。ふくらはやや枯れる。
地鉄は小板目肌。小粒の地沸厚く付く。細かに肌立つ。弾力味のある肌合い。
表に草倶利迦羅、裏は護摩箸・蓮台(彫は一見すると京埋忠明壽のようです)
刃文、帽子は図の通り。
刃文は浅い湾れに互の目。表裏揃いごころ。刃縁は小沸で明るい。刃境に沸筋かかる。足・葉入る。
帽子は乱れ込んで小丸に返る。
茎は生ぶ。栗尻。僅かに中程が張って、先がすぼまる。浅い勝手下がり鑢。目釘穴1個。差表の目釘穴の一字分上から鎬地に五字銘。
以上です。
いつもと同様、次月の月刊『銀座情報』(令和6年6年号)掲載品からの出題です。
今回は二振、出題してみました。
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