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​ 日本刀専門店銀座長州屋がご紹介する鐔、目貫、縁頭、小柄、笄、揃金具などの刀装具を種類別にまとめた商品検索ページです。基本的に価額表記のないものは売約済、もしくは非売品です。ご要望のお品がございましたら、お気軽にお問合せ下さい。(価額税込)

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竹垣図鍔(鐔) 銘 江府住佐久間宜秀
2383

竹垣図鍔(鐔) 銘 江府住佐久間宜秀

Yoshihide

 木賊垣と呼ばれる竹垣を題に採り、耳に厚く象嵌色絵を施して拵に装着した際の美観を考慮した洒落た鐔。湾曲した表面、筋や節、竹そのものといった写実的な描写に加え、竹同士の隙間は1mmにも満たない糸透である。リズミカルに高低変化する竹の節が描く模様が面白い。佐久間宜秀は、草木の肉彫り地透を得意とした江戸時代後期の金工。

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180,000

梶葉紋破扇図鐔 銘 間
2362

梶葉紋破扇図鐔 銘 間

Hazama

 近江国國友鉄炮鍛冶の出になる間は、銃身への象嵌を鐔の装飾に活かした技術集団。

中でも貞栄等は伊勢国亀山の松平家に抱えられている。砂張(さはり)象嵌は、鋤き込んだ文様部分に溶融させた銅、鉛、錫などの合金を流し込んで意匠としたところに特徴がある。

また鉄を鍛える高い技術も備えている。この鐔は、緊密に詰んだ鉄地を八方に筋立つ構造とし、砂張象嵌に加えて鮮やかな金平象嵌をも加味している。

砂張部分は独特の虫食い状に窪みがあって自然な景色を成し、色鮮やかに際立つ金平象嵌と対比の美観を生み出している。

特別保存

500,000

梅�桜花文小透図鐔 無銘 刀匠
2368

梅桜花文小透図鐔 無銘 刀匠

Tosho

 古くは刀工自らが鍛えた太刀に添えて製作したのが刀匠鐔とも言われている。それらは素材である鋼に強靭な趣があり、時に鍛え肌が現れて古作としての味わいが格別である。

切羽台に比較して耳際を薄手に造り込んだ頑強な趣のあるこの鐔も、鉄色が黒々として室町時代にまで上がる風合いが感じられ、指先に伝わりくる鍛えた鎚の痕跡も妙趣に溢れている。

これに対して簡潔に透かしぬいた梅と桜の穴が鮮やか。戦乱を経た実用の時代の鐔である。 (特別保存 刀匠)

特別保存

170,000

菊花に蝶・山鵲図鍔(鐔) 無銘 京正阿弥
2332

菊花に蝶・山鵲図鍔(鐔) 無銘 京正阿弥

Kyoshoami

 江戸時代中期(元禄・享保頃)の京都に、鉄地に精巧で美麗な金布目象嵌を施す鐔工たちがいた。梅龍軒清辰や清景など在銘の作もあるが多くは無銘である。本作は鐔の全面を覆いつくすように大輪の菊と薄などの秋草を展開し、表には長い美しい尾を持つ山鵲を、裏には蝶を配している。山鵲は瑞鳥とされ、菊とともに描かれることが多い。蝶の翅や山鵲の羽毛の様子は詳細に描写され、菊や薄の葉には銀の露が散らし置かれている。華やかで雅やかな趣の作である。

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200,000

引両に巴紋透鍔(鐔) 無銘 京正阿弥
2315

引両に巴紋透鍔(鐔) 無銘 京正阿弥

Kyoshoami

 大振りでほぼ真ん丸形。鍛え良く黒々とした地鉄にはそこここに金の枯れ木象嵌が施されており、殊に耳の外周部の象嵌は彫り込みが深く太い。切羽台の上下に半分ずつ引両を配し、一ツ巴、二ツ巴、三ツ巴を散らした面白い意匠である。見ようによっては引両と切羽台の取り合いも巴になる。勾玉を連想させる巴紋。雷、渦、胎児、蛇などが起源となったという説がある。最も古い家紋であり、神紋、寺紋にも用いられている。

保存

180,000

千鳥図鍔(鐔) 銘 木国正喜〔印:上田〕
2299

千鳥図鍔(鐔) 銘 木国正喜〔印:上田〕

Masayoshi

 木材の断面の模様のように鍛えた鉄の肌模様をくっきりと出す杢目鍛えは紀州藩抱工木田正喜が得意とした技法。その杢目肌に据紋象嵌された千鳥は目のみが金象嵌。千鳥は千取り(多くの物を取る)に音が通じる縁起の良い文様。風や波のようにも見える杢目鍛えを背景に、風船のようにふわりと浮かんで漂っている千鳥を眺めていると肩の力が抜けて自然と頬も緩む。

保存

330,000

茶釜透図鐔 無銘 伝金山
2294

茶釜透図鐔 無銘 伝金山

Den-Kanayama

 時代の上がる金山鐔の魅力の一つに、図柄を探るという面白さがある。

既に失われてしまった器物などの再発見。この鐔のように、櫃穴の周囲に茶釜を想わせる意匠を施しているところなどは、比較的判りやすいと言えよう。殊に茶に通じる図柄は好まれたようだ。

小振りに引き締まったこの鐔は、鉄色黒く渋い光沢に包まれており、素材の美観も透しと相乗して格別のものがある。耳と耳際の所々に穏やかな鉄骨(てっこつ)が現れている

特別保存

180,000

古瓦草花図鐔  銘 加茂明祥(花押)
2276

古瓦草花図鐔  銘 加茂明祥(花押)

Akiyoshi

 割れた古瓦の中に白虎楼の文字。白虎楼は内裏を守護する四神の一つとして朝堂院の西に建てられていた楼閣である。

古瓦と共に、草木に埋もれるようにあるその様子を彫り描いているのだが、蘭や桜草を添えることによって品位の高い場であったことを匂わせている。

鉄地を浅く切り込んだ木瓜形に造り込み、写実的高彫象嵌で宮城跡を鮮烈に彫り現している。

明祥(あきよし)は加茂神社の社家の出であったが金工を嗜み、長じて荒木東明に師事し、また中川一匠にも学んで技術を高めた名工。

特別保存

550,000

七宝文透図鐔 無銘 尾張
2253

七宝文透図鐔 無銘 尾張

Owari

 堂々の長寸刀に装着されていたものであろう、大振りに造り込まれた尾張(おわり)鐔。刀のバランスを考慮して標準的な厚さとされている。

質の良い地鉄は色合い黒く、鍛えた鎚の痕跡が所々に残され、総体にねっとりとした質感が魅力となっている。尾張には古典的な円の組み合わせからなる図柄が間々みられる。本作も円の組み合わせで切羽台に十文字が浮かび上がる趣向の七宝(しっぽう)模様と小円の組み合わせ。切羽台に大の刻印がある。

特別保存

250,000

沢瀉透図鐔 銘 酒楽(花押)
2243

沢瀉透図鐔 銘 酒楽(花押)

Shuraku(Kunioka Masaharu)

 透しによる陰影と平象嵌を組み合わせた構成からなる、琳派の意識を備えた美しい鐔。平象嵌の技術は加賀象嵌に倣ったものであろう、色金の配色と、地と文様の境界をなくした平滑な処理が平象嵌の要であり、見事に独創空間を生み出している。

 色合いが深い赤銅地を耳際が薄手の洒落た碁石形に造り込み、耳に金の覆輪を廻らしている。沢瀉の清楚な花は銀、茎に金を用い、繊細な毛彫を加えて生命感を高めている。

 葉のみ陰に透かしている点が見どころ。酒楽は国岡政春の晩年銘。

保存

250,000

地紙散図鐔  銘 義昌
2178

地紙散図鐔  銘 義昌

Yoshimasa

 義(よし)昌(まさ)は(注)筑前の金工で、作刀も手掛けた巧者。金工作品では美濃彫風の秋草図鐔 (銀座長州屋旧蔵)などを遺している。

この鐔は素銅の寂びた風合いを古画風に活かした作で、八角の造形と耳に打返風の抑揚をつけているのも味わい深い。様々な場面を捉えた地紙を散らした図はいかにも日本的で洒落た風情がある。

各々の文様は鋤彫に片切彫、毛彫、赤銅と銀の平象嵌、金の色絵と多彩な技法を駆使したもので、義昌の高技量が窺える作となっている。 
保存刀装具鑑定書


注…筑前刀工信國義昌には初、二代があり、この鐔は天保頃の二代の作であろう。

保存

200,000

正月飾図鐔  銘 如柳(花押)
2161

正月飾図鐔  銘 如柳(花押)

Jyochiku school

 如(じょ)柳(りゅう)は村上如竹の門人で、師の技術を受け継いで精巧な作品を遺している。正月飾を彫り描いたこの鐔が良い例で、漆黒の赤銅地を磨地に仕上げ、海老の地色を想定して量感のある高彫に素銅色絵とし、目玉は赤銅、手足の所々に金の色絵を微かに加え、全体に毛彫と三角鏨を打ち込んで甲羅の表情や手足触覚の動きを表現している。

注連縄、若松、裏面の竹と万両は、暖か味のある金、銀を含ませた色合いの異なる金、素銅、赤味の強い緋色(ひいろ)銅(どう)による平象嵌を駆使して繊細。勝栗と榧(かや)は高彫に金色絵。いずれも緻密な描写である。 

特別保存

450,000

花弁雁金透鐔 無銘 尾張
2095

花弁雁金透鐔 無銘 尾張

Owari

 色合い黒々とした鍛えの良い鉄地の全面に細かな槌目を打ち施した真ん丸形。小肉のついた角耳の外周に浅い筋が見える。小判形の切羽台は上下がやや張り、耳よりも切羽台が薄くなる中低形。左右対称の意匠を垂直に透かす技法と共に典型的な尾張鐔の特徴を表している。中心に向かって四つの心葉形(猪目)を組み合わせ、対になった雁金で耳と繋いだ簡潔な意匠。優し気に見えるが強堅な鐔である。

特別保存

180,000

木瓜透鍔(鐔) 無銘 金山
2079

木瓜透鍔(鐔) 無銘 金山

Kanayama

 小振りで引き締まった丸形に木瓜、十字、雁金を組み合わせた簡潔な透。叩き締められた強靭な地鉄には所々小粒の鉄骨が黒々と煌めく。茎穴の周囲を深く穿つ鏨跡は、衝撃を吸収するための実用上の工夫である。優し気な風情の曲線の中に実戦の厳しさを秘めた室町時代の作である。

保存

180,000

虫食葵唐草図鐔  銘 会津住忠衛門松村勝方(花押)
2051

虫食葵唐草図鐔  銘 会津住忠衛門松村勝方(花押)

Katsukata

 古調な風合いを漂わせるものの、複雑に絡み合った葵唐草に新鮮な趣が感じられる作。鉄地をしっかりとした丸形に造り込み、土手耳に仕立てて虫食いを施し、全面に渋い色合いの山銅地からなる葵唐草を象嵌している。葵葉は総ての姿態が異なって動きがあり、そのふっくらと量感豊かに仕立てられた上に繊細な毛彫が活かされ、蔓先も勢いよく生命感に満ちている。会津鐔工松村勝方(まつむらかつかた)は忠右衛門と称する優工。 

特別保存

350,000

鳩に鏃図鍔(鐔) 銘 後藤光久(花押)
1079

鳩に鏃図鍔(鐔) 銘 後藤光久(花押)

Mitsuhisa

 切込みの浅い木瓜形を打ち返し耳とした一乗派が得意とする造り込み。陶板のように光沢のある鉄地には鳩と鏃の高彫象嵌。空には棚引く雲が金と赤銅の直線で簡潔に表わされている。写実的な鳩と鏃との異なる表現方法が興味深い。鳩は八幡宮を、弓矢は八幡太郎義家、あるいは武士そのものを連想させるが、本作は弓矢ではなく散らばった鏃である。一乗派には朽ちた木材や古瓦を散らし置いた図の鐔がある。光久も得意とした画題で、動乱の時代の影響か、無常観や寂寥感、郷愁を誘う。制作年はわからないが、本作もやはり世情を反映して、一つの時代の終わりを暗示しているのではないか。そう考えると大和絵風の雲にも何か含みがあるようにも思われる。光久は後藤一乗の兄是乗(光凞)の子で治左衛門家の六代目を襲った。一乗に似た作風の上手である。

特別保存

230,000

干し網図鍔(鐔) 銘 埋忠橘宗義
952

干し網図鍔(鐔) 銘 埋忠橘宗義

Muneyoshi

 漁具である網を円錐形に干した網干文(あぼしもん)は海辺の長閑な風景を伝えるとともに、末広がり、一網打尽、大漁祈願など吉祥文としても好まれた。深い錆色の下から覗く鍛えられた地鉄の微かな肌模様が、朝霧が流れていく様のようである。垂直に立てられた竹棹は赤銅、縄目を刻んだ象嵌金色絵の網はリズミカルに曲線を描いている。埋忠家嫡流の埋忠橘宗義には、「埋忠明壽孫数馬助橘宗義作」と銘した脇差があり、刀工でもある。

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85,000

投桐透鍔(鐔) 無銘 西垣
2382

投桐透鍔(鐔) 無銘 西垣

Nishigaki

 対称であることに秩序や清らかさ、潔さを感じる一方、非対称であること、微かな歪みや不規則性に不思議な安堵感を覚えることもある。桐の花と葉を画面いっぱいに陽の透とした本作は、透際も均一に垂直とはせず、奔放に変化し、自然な揺らぎのような心地良さを生み出している。興味深いのは茎櫃にまで桐の花を透かし彫りしていることだ。葉脈は時に強く、時に消え入りそうな線刻。切羽台辺りがこんもりと厚く、耳に向かって肉を落とす。鍛えの良い地鉄には、所々荒れた部分もある。語られることのない数百年という歳月の跡が感じられる。

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150,000

藻鯉図鐔 銘 徳埜英辰(花押)
2364

藻鯉図鐔 銘 徳埜英辰(花押)

Terutoki

 徳埜英辰は大森英昌と英秀に学んで精巧な作品を遺した名工。確かな構成と揺るぎのない鏨を駆使したこの鐔は、ゆったりと水面に姿を現した野鯉の力強い動きをも表現した完成度の高い作品。

耳を強く立て、地面には細やかな石目地を施し、点描を連続させて水の流れを表現しており、これも美しい。筋肉質な鯉の身体は朧銀の色絵で、細やかに鏨の加えられた鱗や鰭の隙間に金が施され、陽を受けて輝く様子も見事に再現。

目玉は金色絵。身体に絡みつく藻は高彫金色絵と金平象嵌。

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500,000

柳に鷺図透鐔 銘 仙壽作
2372

柳に鷺図透鐔 銘 仙壽作

Senju saku

 刀身彫刻の名手柳村仙壽氏は、それのみに活動を限定せず、独自の表現方法を模索し広く彫金による美の表現を追求した。流れるような合わせ鍛えの層が美しい景色となった本作も柳に鷺という古典的な好画題を鋭く緊張感のある彫り口で描いている。

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120,000

月下花喰鳥図鐔 銘  後藤誠意(花押) 甲子の春
2325

月下花喰鳥図鐔 銘  後藤誠意(花押) 甲子の春

Goto Seii

 後藤誠意(せいい)は清乗の高弟で技量が高く、精密な高彫表現を得意とした。
上質の赤銅地を磨地に仕上げ、桜を口にして天上を目指す鳳凰を彫り描いた品の良い作。

花喰鳥の図は、正倉院御物にもあるように古くから吉祥の意味合いがあって広く好まれていた。

この鐔では裏面に桜の咲く瀧の様子を添え描いて季節感豊かに、しかも月夜に香りの漂いくるような、美しい情景に表現している。

殊に鳳凰の彫口は鮮やかで、細部まで丁寧に処理されている。

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450,000

初夢図大小鐔 無銘
2313

初夢図大小鐔 無銘

Attributed to a work of ichijo shool

 吉兆として望まれながらも、なかなか初夢で見ることのできない「一富士二鷹三茄子」を題として彫り描いた大小鐔。

夢中を表現しているのであろうか平坦な鉄地に微妙な抑揚をつけ、耳を強く打ち返している。鉄色は黒く、微細な石目地によって暖か味が感じられ、くっきりとした写実的な高彫によってそれぞれの主題が鮮やか。

翼を広げて舞い上がろうとしている鷹と、その背後にある初日の出の富岳は爽やか。金銀の象嵌も的確である。
後藤一乗一門の作であろう。

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300,000

餌畚透鍔(鐔) 無銘 西垣
2298

餌畚透鍔(鐔) 無銘 西垣

Nishigaki

 実に簡潔で端正な姿である。と同時にどこまでも広がってゆく伸びやかさも感じる。左右の大透は餌畚という鷹匠が使う餌入れである。鍛えの良い鉄磨地は表面にチリチリとうごめくような表情があり、耳に向かって穏やかに肉を落とす。透際を丁寧に処理した左右の餌畚はわずかに大きさが異なる。絶妙な加減で配された金布目像の唐草。不思議と見入ってしまう、肥後鐔の美点を体現した作である。元禄頃の西垣勘四郎の作であろう。

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180,000

群鼠散図鐔  無銘 古金工
2292

群鼠散図鐔  無銘 古金工

Ko-kinko

 実り豊かな秋の様子を文様表現した古鐔。

色合いに深みのある山(やま)銅(がね)地を縦長に造り込み、魚子地を縦に打ち施し、切羽台の周囲に魚子を廻らせているところなども古様式。

豊かさを明示する文様化された鼠、米俵、葡萄は躍動的な布置で、殊に鼠の姿が多様にしていかにも元気な様子で生命感に溢れている。葡萄や花にも古作に見られる意匠が窺える。

施されている金の色絵も擦れて時代を感じさせ、地位の高い武士の腰に備えられたものであることを窺わせている。

特別保存

350,000

桜花五重輪散帆掛舟図鐔  銘 貞栄
2274

桜花五重輪散帆掛舟図鐔  銘 貞栄

Tei ei(Sadanaga Hazama school)

独特の風合いを示す砂張(さはり)象嵌(ぞうがん)を駆使した間(はざま)派の鐔は、表裏違った図とされることが多い。
この鐔も、帆掛舟と桜の採り合わせで、同心円は春爛漫の空気感の表現と捉えるべきものか、鑑賞者の感性が問われる作品となっている。

鉄地に瀟洒な文様を彫り込み、砂張を象嵌する技法は鉄炮の装飾技術に始まると伝える。
本作も、熔けた砂張の収縮による微妙な凹凸が、自然な景色を生み出している。
近江国友村出身の貞栄(ていえい)は間派を代表する名工で、伊勢亀山、山城、下総と、主家に伴って各地で活躍している。

特別保存

550,000

軍配透図鐔 銘 城州西陣住埋忠橘重義
2256

軍配透図鐔 銘 城州西陣住埋忠橘重義

Shigeyoshi

 軍配を鐔の全面に大胆に意匠した作。京西陣に栄えた埋忠派の金工は、瀟洒な図や御目出度い風物など様々な事物を文様化して鐔に展開し、殊に重義は京だけでなく江戸や播磨でも同銘工が活躍して人気を博した。この鐔は、図案としては簡潔な線描写ながら、伝統の金布目象嵌で軍配の輪郭を描き、その内側に極めて細い糸透を施すことにより、職人の個性を鮮明にしている。いかなる技法を以てこの四ミリほどの鉄板に極細の透しを切り施したのであろうか。 

特別保存

180,000

帰樵図鐔 銘  佐嘉住乗道(花押)
2235

帰樵図鐔 銘  佐嘉住乗道(花押)

Jodo

 佐賀金工乗道(じょうどう)の、金家を手本とした作(注)。鉄地を木瓜形に造り込み、耳を打ち返して景色を切り取り、地面には打ち込みによるものであろうか抑揚変化を付けて鄙びた空気感を演出している。山陰に見えているのは多宝塔。夕暮れ時の山道であろう、家路を急ぐ樵と一休みの態の旅人を、裏には、大徳寺養徳院の襖絵小栗宗湛筆帰雁図に倣った一場面を彫り描いている。いずれも高彫に金銀象嵌。金家の心象世界を映して独創的空間に仕上げている。

注…文献にみられる「佐賀金家」は、本作の如き作品を指すのであろう。

特別保存

250,000

蕪に蝶図鍔(鐔) 無銘 江戸肥後
2168

蕪に蝶図鍔(鐔) 無銘 江戸肥後

Edo higo

 蕪と蝶は古くから陶磁器や着物の文様として目にする画題である。不思議な取り合わせだが、古語で「頭」のことを「かぶ」と発音したことから蕪は出世の象徴。蝶は中国語でhudie。発音の一部dieが老年を意味する耋dieと音が通じることから長寿の象徴とされたという。
大振りの撫角形は鍛え良く、ゆったりとした趣。蕪は金の布目に銀の布目を厚く重ねた凝った仕上げ。手に持って角度を変えると銀の間からきらきらと金が覗く。踊るような葉は、葉脈に細かく金布目象嵌を施したものと葉先にぼかすように異なる色調の金で布目象嵌を入れたものの二種で表と裏、陰と陽を表す。打ち込まれた鏨が地紋のようにも見え、そこに薄く鋤き出された蝶が舞う。繊細な文様は三種の金による布目象嵌。江戸肥後とは、仙台出身の熊谷義之が江戸四谷に出て肥後細川家の抱え工となったことからついた熊谷一派の呼称。金銀の布目象嵌を多用した華やかな作風で人気を博した。四谷肥後とも呼ばれた。

保存

160,000

若松紋散図鐔  銘 東雲斎渡邊壽光作
2159

若松紋散図鐔  銘 東雲斎渡邊壽光作

Toshimistu(Toryusai school)

 渡邊壽光(としみつ)は江戸後期に隆盛した東龍斎清壽の門人。木賊(とくさ)を耳に廻らした鐔、新趣の菊花尽し鐔、雪花文鐔、匂うような蘭の花を散らした鐔等(注)、写実味のある文様表現を得意とした名工。本作は、若松を組み合わせた繊細な線描写が美しい家紋散しの図。極上質の赤銅地はあらゆる光を吸収してしまうかのように色合い黒々として、金による家紋とは陰陽の対極にある存在。大粒に蒔かれた魚子は一糸乱れず整然とし、高彫された家紋はふっくらと丸みがあって上品、金の色絵が鮮やかに映えている。 
特別保存刀装具鑑定書
五十万円(消費税込)

注…いずれも『銀座情報』掲載品。

特別保存

500,000

月下繋馬図鍔(鐔) 無銘 柳川派
2090

月下繋馬図鍔(鐔) 無銘 柳川派

Yanagawa school

 銀色に輝くのは十八夜か、それとも十九夜の月であろうか。薄野原を照らす冴え冴えとした月明かりの下、馬が一頭草を食んでいる。裸馬ではあるが、放れ馬ではない。馬を繋ぐ綱は鐔の耳から裏側へまわり、朽ち木に括り付けられている。旅の途中であろうか、何か物語を感じさせる情景である。小肉のついた耳にまで撒かれた微細な魚子は整然として美しい。量感のある高彫の馬は、大きな目が印象的。柳川派の特徴を示す豊かな鬣と引き締まった力強い体躯をしている。柳川派の祖である直政は、横谷宗珉の直門。横谷式の赤銅魚子地高彫を得意とした。続く直光、直春、直連ら本家の頭領をはじめ門人達も代々その技を受け継いで栄えた。

保存

220,000

秋草図鐔  銘 長州萩住幸光作
2055

秋草図鐔  銘 長州萩住幸光作

Yukimitsu

 長州鐔工は植物の図を正確な構成で精巧緻密な高彫表現とするを特徴とした。磯部(五十部)幸光は源之充と称し、文久から慶応の年紀作を遺す名手。本作は、晩夏から初秋にかけて野を彩る植物を生け花のように巧みに組み合わせた、構成美に優れた作。いずれも肉高く彫り出して地を平坦に仕上げ、図の際を切り立つように仕立て花々をくっきりとさせ、微細な筋彫で葉脈を彫り表わし写実美を極めている。色金を用いなくても色彩が感じられる作品である。

特別保存

250,000

茶筅・茗荷・菊花・雁金繋透鍔(鐔) 無銘 赤坂
2033

茶筅・茗荷・菊花・雁金繋透鍔(鐔) 無銘 赤坂

Akasaka

 深い色合いの鍛え良い鉄地は大振りで堂々とした菊花形。茶筅、茗荷、菊の花弁を雁金で繋いだ伝統的な赤坂鐔の意匠であるが、どことなくモダンな印象を受ける。それぞれの文様の大きさと配置の妙か。互いに交差するうっすらと肉を付けた菊の花弁が大きな存在感を放つ。

保存

135,000

竹林の賢人図鍔(鐔) 銘 百壽軒芳信花押
1028

竹林の賢人図鍔(鐔) 銘 百壽軒芳信花押

Yoshinobu

 薩摩出身の百壽軒芳信は中国古典を題に採った華麗な高彫色絵を得意とする。本作も竹林を背景に穏やかにほほ笑む二人の文人が描かれている。微細な赤銅魚子地と磨地の対比が際立ち、金銀素銅の象嵌色絵が華やかに彩る。細部に独特の表現を見せる芳信。高台の地面は深い毛彫に点刻を加えて柔らかな質感を出し、異なる金属の色絵と点刻でゆったりと重なった衣を表した。竹は撓っても折れず、雪の中でも青々と清らか。君子を象徴する植物である。 

特別保存

450,000

紋様散透鍔(鐔) 無銘 古甲冑師
951

紋様散透鍔(鐔) 無銘 古甲冑師

Ko-Kacchushi

 大振りで薄手、時代の上がる、古甲冑師と呼称される鐔。
叩き締められた鍛えの良い地鉄は指で弾くとカランと乾いた音がする。陰に透かされた紋様は、雲であろうかそれとも花びらであろうか。極限まで細く透かされた曲線にも力が漲る。陰影のある表情豊かな地鉄に現代美術の抽象表現のような透模様が実に面白い。全て曲線で構成された紋様だが、手強い印象を受けるのはさすがに実用の時代の古甲冑師鐔ならではである。

特別保存

250,000

黄石公・張良図鍔(鐔) 無銘 彦根
2374

黄石公・張良図鍔(鐔) 無銘 彦根

Hikone

 左手で龍の角にしっかり掴まり、右手を高く掲げて沓を差し出すのは後に前漢を興した劉邦の軍師となった張良。

橋の上、馬上よりそれを厳しい表情で見つめる人物は秦末の隠者黄石公である。秦の始皇帝暗殺に失敗した張良が身を隠していた際に黄石公と出会い、試練を経て兵法書を授かるという故事を基にした謡曲の一場面。長幼の序、忍耐、精進、勇気という武士の規範を表すこの画題は装剣小道具に好んで採られた。

藻柄子宗典派らしい躍動感のある肉彫り地透を金銀素銅の象嵌が彩る。宗典派は居住地から彦根彫りの呼称があるが、本作は無銘ながら彦根の巧技が余すところなく発揮されている。

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200,000

釣舟図鐔 銘 武藤源八政克工
文政十三寅年五月
2365

釣舟図鐔 銘 武藤源八政克工
文政十三寅年五月

Masakatsu

 武藤政(まさ)克(かつ)は源八と称し、奈良派で修業を積んだ後に岩本昆寛にも学んでおり、正甫(まさとし)とも銘を切る。

この鐔は水辺の景色を情感豊かに彫り描いたもので、素銅の素材を活かして夕暮れ時を想わせる、穏やかな空気が感じられる作。

抑揚のある石目地仕上げで耳をわずかに打ち返し、釣人は夕日が背景の陰影風。波の寄せる様子、波打ち際の泡立つ様子なども金の色絵を加えて精密な鏨で細やかに描写している。

耳の周囲に加えられた点刻は砂浜を意図したもの。

特別保存

450,000

馬透鍔(鐔) 無銘 正阿弥
2334

馬透鍔(鐔) 無銘 正阿弥

Shoami

 野性味のある精悍な風貌の二頭の馬。黒味の強い鉄地は鍛え良く、形はほぼ真ん丸形。引き締まって抑揚変化に富んだ肉置きと馬躰の表裏を描き分ける手法は雲州の春田毎幹を彷彿させる。躍動する筋肉や流れるように美しい鬣の様子など描写は詳細で写実的。軍馬を養う牧であろうか。草原に遊ぶ馬を生き生きと描いている。

保存

150,000

四方剣頭鐶透鍔(鐔) 無銘 赤坂
2321

四方剣頭鐶透鍔(鐔) 無銘 赤坂

Akasaka

 厚手でほぼ真ん丸形の鉄地は耳に向かってやや肉を落とす。糸巻にも七宝繋にも見えるこの意匠は鐶を四つ配したもの。それぞれの弧の中心から耳に向かって剣先が覗く。すっきりとした洒落た作である。

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150,000

松下寿老鹿図鐔 銘 本山敬英(花押)
2310

松下寿老鹿図鐔 銘 本山敬英(花押)

Takahide

 七福神の一、寿老人を精密に彫り描いた作。本山敬英は熊吉と称し、洒落た構成と正確で緻密な高彫に長けた自立齋友英の門人。この鐔も、師風を継承して写実的な描写とされている。

深みのある四分一地を量感のある高彫とし、松下に佇む寿老人と、これに寄り添う鹿を穏やかな表情に彫り描いている。髭、額の皺、唇、優しい目も細部まで描写。衣服は金の平象嵌を巧みに施して一際鮮やか。

松樹の幹の表現も鱗状の皮を緻密に再現しており、笹や松葉などの添景も美しい。

特別保存

450,000

雁透鍔(鐔) 無銘 尾張
2296

雁透鍔(鐔) 無銘 尾張

Owari

鉄色黒々として大振り、厚手の堂々とした作である。荒々しく叩き締めた耳には小粒の鉄骨が散見され、骨太な透は上下、左右に対称形を成す。放射状に繋いだ雁金が、まるで絡繰り仕掛けのようだ。鍛え良く、力強い地鉄をすっきりと垂直に透かした明快な作行はいかにも尾張鐔然として好ましい。

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250,000

林和靖図鐔 銘 弘親
2290

林和靖図鐔 銘 弘親

Hirochika

 梅と鶴を愛し西湖畔に庵を設けて独居したという宋代の詩人林(りん)和(あ)靖(せい)を、水戸金工独特の正確な図柄構成と精緻な鏨使いで彫り描いた鐔。

鉄地に高彫と鋤彫が鋭く、彫り際の線が立ち、表情豊かな人物描写も水戸金工ならではのもの。林和靖と子供の顔、佇む姿態、もちろん指先まで動感豊かに、しかも繊細。飛来する鶴の様子も、柔らか味のある羽毛に包まれているようで、ここも精密である。

川の流れが描かれた連続する裏面の描写も国名である。打越弘(ひろ)親(ちか)は善太郎と称し、弘壽の門人。江戸にも居住している。

特別保存

250,000

葦原に櫂図鐔  銘 明義(花押)
2280

葦原に櫂図鐔  銘 明義(花押)

Akiyoshi(Mito)

 秋の水辺であろう、葦原に打ち捨てられた櫂を主題に、舟戦の跡を想わせる場面として彫り描いた作。

明義(あきよし)は正阿弥派の流れを汲む陸奥国会津の鐔工で、東北地方を歴訪した河野春明の門人。

鉄という素材を活かして、師風の洒落た景色を、精巧な高彫象嵌で表現するを得意とした。
この鐔も、抑揚変化のある石目地仕上げの鉄地で、霧か霞か気の立ち昇る風合いを巧みに演出している。
葦は金象嵌、櫂は赤銅象嵌で、印象深い風景を生み出している。 

特別保存

280,000

楼閣透図大小鐔 大小 銘 武州住忠時
2238

楼閣透図大小鐔 大小 銘 武州住忠時

Tadatoki

 楼閣と聞いて想像するのは「砂上の楼閣」ということわざであろう。しかし、負の意味合いを持つ楼閣図では、鍔の意匠として不適切であり、楼閣図には別に深遠なる寓意が隠されていると考えるべきであろう。

今から千年以上前に范仲淹(はん ちゅうえん)という北宋の政治家がいた。彼の特異な点は、儒教的価値観を如何に政治・社会に浸透させ、これを世に反映させるかという実効性を重視していた点である。

ある時、役人の滕子京(とうしけい)という人物が岳陽楼(がくようろう)という楼閣を修築し、友人である范仲淹に記念文の執筆を依頼したという。范仲淹は『岳陽楼記』と呼ばれる祝文を認め、左遷された滕子京を慰めるとともに、岳陽楼の修築完成を祝したという。この文中にあるのが「先天下之憂而憂、後天下之楽而楽」(天下に先んじて憂え、天下の人々が楽しんだ後に楽しむ)の一文である。

楼閣とは、遠方を見渡し、外敵を警戒するための要所であると同時に、次第に階位が上がる立身出世の象徴でもある。頂に立った者だけが目にすることのできる絶景は、地上の民草には決して垣間見えぬ景色であろう。しかし、楼閣の頂上から何を見るかでその人物の真価が決する。

江戸の鍔工、赤坂忠時が手がけた「楼閣図鐔」には、わずか数寸の金属面に、繊細な毛彫りで楼閣が刻まれている。注文主がこの鐔に託したのは、まさに『岳陽楼記』に記された士の理想と内省の精神であったのだろう。小さな鐔面に凝縮されたこの精神世界は、武士が日々手にする刀の一部として、彼の生き様を傍らから見続けてきたことであろう。

特別保存

300,000

蘭図鐔  銘 吉岡因幡介
2214

蘭図鐔  銘 吉岡因幡介

Yoshioka Inabanosuke

 蘭は四君子にも数えられるように、気品と美徳を感じさせる佇まいから絵画の題材として好まれた植物である。この鐔でも、木蔭に咲く春蘭が繊細な描線と平(ひら)象嵌(ぞうがん)の組み合わせで華やかに彫り描かれている。造り込みは切羽台に比較して耳際が薄手の碁石形。極上質の赤銅地は、色合い黒々として光沢強く、耳に金の覆輪が廻らされて地面の黒を引き立てている。蘭の花は金、葉は微妙に色を違えた金の平象嵌と毛彫で繊細に表現されている。吉岡(よしおか)因幡介(いなばのすけ)は、後藤家と同様に徳川幕府に仕えた名流である。

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450,000

海老獲猿図鐔 銘 長門萩住中井友恒
2166

海老獲猿図鐔 銘 長門萩住中井友恒

Tomotsune

 中井善助友(とも)恒(つね)は毛利家に抱えられた長州鐔を代表する名工。山水や植物に題を得ることの多い長州鐔にあって、友恒の作は独創に富んで評価が高い。

水辺に垂れる老松の枝から海老に手を伸ばす猿猴に取材した図は、何を暗喩しているのであろうか、興味一入である。裏面は広々とした牧場に放された馬で、山陰には花が咲いて春の暖かさが感じられる場面。色合い黒い鉄地は石目地とされ、高彫に金、朧(おぼろ)銀(ぎん)、素(す)銅(あか)の象嵌を施した主題を浮かび上がらせている。

特別保存

350,000

文様散鍔(鐔) 無銘 平安城象嵌
2133

文様散鍔(鐔) 無銘 平安城象嵌

Heianjo zogan

 そもそも犬が画題として取り上げられることが珍しい。しかも時代の上がる鐔に、である。画題としての犬は、じゃれあう仔犬や、座頭に絡む野犬、野晒とともに描かれる餓狼などが典型。本作のような猟犬が描かれるのは極めて珍しい。蓑笠を付けた人物の後を追う犬の全身から嬉しい楽しい気持ちが伝わってくる。絵風鐔への過渡期と考えられる作。引き締まった小振りの鉄地全体に展開する真鍮地高彫象嵌は、それぞれ関連性があるのか無いのか不思議な取り合わせである。しかも木賊を刈る人よりも巨大な海老やカマキリ、野菊など、何を基準としてそうなったのか、できることなら作者に聞いてみたい。現代の感覚では捉えきれない面白さが凝縮されている。実用の点からの不思議は小柄櫃に設けられた鉄地の当て金である。小柄のためなら柔らかい銅を用いた方が良いのではないか。全体の色合いを変えたくないという美観を追求してのことだったのだろうか。謎多き鐔の最大の謎を最後に。裏面の茎櫃周辺の一部に魚子が撒かれているのだ。赤銅魚子地の古金工や古美濃の鐔の切羽台には、試し打ちであろうか、稀に数条の魚子が撒かれていることがあるが、鉄地の切羽台に魚子が撒かれているのを初めて見た。滑り止め?どなたかご存知ならご教示願いたい。

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160,000

乗牛読書図鍔(鐔) 銘 米澤住重斯
2089

乗牛読書図鍔(鐔) 銘 米澤住重斯

Shigenori

 牛の背に後ろ向きで座り読書する人物は、中国の隋末に割拠した群雄の一人、李密(582年─619年)。官職を辞し、史記や漢書を学んでいた時期の姿である。大振りの竪丸形は空間を贅沢に使い、ゆったりとした趣。うっすら鋤き出された雲が流れ、重なり合った唐松の高彫には金象嵌の松毬が輝く。なだらかに柔らかく盛り上がった李密と牛の高彫。牛の背にはうっすらと背骨が浮かび、読書に熱中する主人を気遣うかのように見上げている。
裏は寂びた余韻を残す楼閣山水図。会津住重斯、または米澤住重斯と刻銘した菊池重斯には、薪を背負って読書する朱買臣図鐔(銀座長州屋蔵)という作がある。「ながら読書」は学習意欲が庶民層にまで浸透した江戸時代後期の世相の表れかもしれない。

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170,000

柳下牛図鐔  銘 羽州住宜(花押)
2053

柳下牛図鐔  銘 羽州住宜(花押)

Yoshi (=Yoshitoki)

 放牧されている牛がのんびりと若草を食む農村風景、早春の一場面に取材した作。柳が明るい色合いの葉をひろげ、春霞に陽射しも柔らかい。鉄地を大振りに造り込み、表面には鍛えた鎚の痕跡を残して素朴な風合いを漂わせる。裏面の遠山と流れ下る小川、足元の川面まで薄肉の彫法ながら、山水の古法を採り入れた構成で遠近の様子を表現している。赤銅地高彫の牛も素朴。安藤宜時(あんどうよしとき)は半兵衛と称し佐藤珍久の高弟。奈良派に庄内金工の風合いを加味した作で高い評価を得ている。

特別保存

250,000

三聖吸酸図鍔(鐔) 銘 直丈
2027

三聖吸酸図鍔(鐔) 銘 直丈

Naotake

 過剰と思えるほどの装飾だ。点景、背景、装束の文様が色味を変えた金象嵌で隙間を埋め尽くすようにちりばめられている。この作品の主題を装飾に埋もれさせて隠したがっているのではないかと思うほどだ。
 大振りの鉄地竪丸形の中央に薄肉彫りで酢の入った大甕を据え、それを囲むように釈迦(仏教)、孔子(儒教)、老子(道教)の三聖人が立っている。何やら楽しそうで、特に中央の釈迦は歯を見せて大笑いしている。「三聖吸酸(さんせいきゅうさん)」または「酢吸三教(すきゅうさんきょう)」と称されるこの図は、誰が舐めても酢は酸っぱいように、教義や宗教が違っても真理は一つであるということをわかりやすく表している。室町時代に中国から伝えられたこの図は禅画で好まれ、後に寺社建築の彫刻にも採られている。裏側は鋤き出された岩の間を清冽な水流が迸る。清らかな水の流れを遠近、高低で奥行きを出した金象嵌の草木が鮮やかに彩っている。
 武陽住と銘する直丈は、作品の類例は少ないが、本作の見事な象嵌技術や表情豊かな人物描写を見れば優れた金工であったことがよくわかる。

特別保存

280,000

放馬図鐔 銘 加藤重光(花押)
1018

放馬図鐔 銘 加藤重光(花押)

Shigemitsu

 加藤重光は、狩野探幽に学んで同門四天王に数えられた会津藩御用絵師加藤遠沢の孫。会津では正阿弥流の風景図が隆盛しており、重光もまた風情のある絵画風の鐔を遺している。この鐔は、野に放牧されている馬の様子を自然な視線で捉えた作。質の良い鉄地を高彫とし、冬枯の木は赤銅地高彫、馬の身体は朧銀地高彫に金色絵、下草も金で静けさに包まれた空間を創出している。裏面は野に流れる小川に雪が舞い落ちている様子であろうか。

特別保存

180,000

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