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私の正体は? ―鑑定刀 第四回【解答】



【解答】

一振目:[正解]脇差 銘 越前守助廣 寛文七年二月日





問題1は越前守助廣の寛文七年二月日紀の脇差でした。

姿格好から寛文新刀とわかります。しかも姿に洗練味があります。

江戸新刀、大坂新刀、それとも肥前刀かな?

地鉄を見ると、鎬地の柾目が細やかで、荒ぶるところがないらしい・・・江戸新刀はないかもな。

地沸の粒子は、どうやらとても細かいらしい・・・それなら肥前刀は少し粒だった感じがあるから、違うかな。

では、大坂新刀かな・・・地肌が抜群に冴えているようだから・・・ひょっとして津田助廣か?

そして直刃がゆったりと湾れる気味がある・・・そういえば、あの人は五つに湾れるとか聞いたことがあるなあ・・・

帽子の形も整っているなあ。きちんとしている・・・上手だ。

茎は裏銘が表銘より一字上げて刻されている・・・五文字だと津田助廣?いや越前守助廣かな?

乱れ刃も得意・・・大海の大波・・・ああ、濤瀾乱刃・・・となると津田越前守助廣が正解。


脇差 銘 越前守助廣 寛文七年二月日(大業物)

※1/23よりWebサイトにて詳細を公開予定


 

二振目:[正解]刀 銘 肥前國近江大掾藤原忠吉






問題2は肥前國近江大掾藤原忠吉の刀でした。

身幅が広く、先幅も充分で中鋒ですが、注目されるのは反りが高い(六分も反っています)こと。

しかし、どうやら古刀ではない。慶長元和、元禄、江戸後期?うーん。

しかし、慶長元和の刀ほどには鋒は大きくないなあ。となると元禄か、江戸後期?

地鉄はどうかなあ・・・細やかだけれど、無地風ではないらしい・・・となると元禄か。

そういえば、寛文をやや下がる頃の刀って、反りが高いとか言ってたなあ、あ、元禄新刀か・・・。

元禄頃のどこの国かなあ・・・江戸、大坂、肥前?

地鉄は・・・小板目肌詰み、細かな地沸がついて梨子地肌となり、潤い感があります、

地景が網状に働いて、活力が感じられます・・・梨子地肌風、潤い、活力、透明感・・・

どうやら荒ぶるところはないみたいなあ・・・肥前かなあ。

米糠を蒔いたような独特の肌を肥前の「小糠肌」っていうんだっけ?

茎は・・・横鑢・・・肥前忠吉一門は横鑢だよねえ。

おじいさんの影響で直刃が多い・・・おじいさんに指導を受けた・・・お父さんは?

お父さんは早く死んじゃったんだ・・・となるともしかして

おじいさんは近江大掾忠廣で、お父さんは陸奥守忠吉・・・その子は近江大掾忠吉となります。




刀 銘 肥前国近江大掾藤原忠吉(良業物)

※1/23よりWebサイトにて詳細を公開予定


 

いかがでしたでしょうか?

今回問題として採り上げた二振は、1月23日発売の月刊『銀座情報』2月号(448号)に掲載されております。

(Web版の公開は1/23からの予定です)








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