放馬図三所物 小柄笄 銘 三宅英政(花押) 目貫 金短冊銘 三宅英政(花押)
Hidemasa
木曽、対馬、南部、三河、能登などは名馬の産地。それら放牧地には、鞍や手綱から解放されて自由に駆け回る軍馬があり、また、いずれ戦場を駆け巡るであろう若駒やその母馬が草を食んでいた。体をぶつけ合うように競い激しく後ろ足を蹴り上げる馬を小柄に、親子であろう優しい視線を投げかける様子を笄と目貫に彫り描いた三所物。綺麗に揃った赤銅魚子地は広々とした牧場を思わせ、馬の身体は上質の金無垢地を打ち出し強く容彫とし、隆々とした筋肉や風に揺れる鬣と尾まで躍動的に彫り出している。三宅英政は、江戸の二代宗與に学び毛利家に抱えられた英充の近縁の名工。
特別保存
1,200,000
雲龍図揃金具 鍔 銘 三宅友英(花押) 小柄 銘 自立斎友英(花押) 縁頭 銘 自立斎友英(花押) 目貫 短冊銘 自立斎
Tomohide
自立齋友英は三宅本次郎と称し安永七年の生まれ。横谷宗與門人の三宅英充の子。精巧で緻密な彫口になる写実的作風を専らとし、砂潜龍とも呼ばれる砂原を掻き分けて出現したかのような、くっきりとした高彫表現の龍神図もまた得意とした。この揃金具こそ典型的作風。漆黒の赤銅地を厚手に肉取りし、石目地を沸き立つ雲に見立て、彫り込み深く龍神の胴体を立体的に彫り出し、引き裂かれたかのような雲の隙間と、揺れ動く雲間に見え隠れする胴体の描写は他に類例がない。龍神の鱗と鰭は鋭く、手足に力が籠って雲を掻く爪も鋭く、辺りを探る触覚が躍動的。金無垢地の目貫は石目地によって色合い渋く、ここにも雲の裂け目があり、この小さな隙間の中の細工の確かさも鑑賞されたい。
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秋草図二所物 銘 悠然居光親(花押〉
Mitsuchika
幕末頃の庄内を代表する金工、鷲田光親の優しい視点と自然観が生み出した秋野の風景。極上の朧銀地と微細な石目地により、秋の草花をしっとりと包み込む朝霧を想わせる。描法は穏やかに変化して筆描のように流れる片切彫。割笄は肩の辺りで銀の削継とされており、これも美しい処方。光親は柳川家に学んだ庄内藩工鷲田光時の子で文政七年の生まれ。 保存刀装具鑑定書
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250,000