家康や信長を例に採るまでもなく権力者は鷹狩を好んだ。鷹狩は頼朝の時代の巻狩と同様に軍事訓練に他ならず、鷹匠道具もまた武具の一つであり、武士の備えとして、小柄笄の装飾に不可欠のもの。時を重ねた赤銅魚子地を背景にくっきりと量感豊かに彫り出し、高彫部分は彫際を絞るように処理し、事物の表面には鏨を加え、一部に金の薄板を被せるうっとりの手法を採って風格ある画面としている。初、二、三代までの時代の上がる後藤家の作を古後藤と呼び慣わしている。