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撫子蒔絵厨子棚 平戸松浦家伝来
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梶葉紋三星紋 垣に撫子図黒漆塗金銀朱粉蒔絵
江戸時代 松浦家伝来
高さ 二尺三寸三分(七〇・五糎)
横幅 二尺五寸五分 奥行 一尺二寸二分
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円(税込)
No.
肥前北松浦郡と壱岐国(現長崎県)を領した平戸藩松浦家旧蔵と伝える、江戸中期製作の撫子蒔絵厨子棚。棚板に松浦氏の平戸梶の家紋が蒔絵され、金具にも同紋と松浦星(三ツ星)紋が刻され、伝来は確かである。時を重ねてしっとりとした色合いを呈する黒漆塗に、金粉蒔絵で描かれた瑞々しく華麗な生垣に撫子の図は、古典的な物語を内に秘めた風景の文様表現。これは江戸初期の本阿弥光悦や俵屋宗達などが温め、元禄期の尾形光琳が完成させた「琳派」の趣向に他ならない。撫子蒔絵は金銀朱粉による平坦な手法だけでなく、描割と呼ばれる精巧でしかも細やかな技法が要所に施され、さらに金の微粉を背景に散らし蒔くことにより香り立つ空気感を演出している。棚の下から二段目の観音開きの扉の内側には阿吽の様相をなす狛犬が金蒔絵されており、今にも動き出さんばかりである。
この棚は調度として奥書院に置かれたもの。松浦家の賢侯たちは慌ただしい日常と諸問題をしばし忘れ、豊かな時を過ごしたのであろう。今でも、遠い幕政期の大名家の文化と生活、松浦氏の優れた美意識を伝える逸品であり、我々の心を楽しませてくれるのである。
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