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蕗葉に蜂図鍔(鐔)

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銘 出羽秋田住正阿弥傳七(伝七)

Tsuba ”Butterbur leaves & Bee”

Signed Dewa Akita ju Syoami Denshichi

No.

709

蕗葉に蜂図鍔(鐔)銘 出羽秋田住正阿弥傳七(伝七)

特別保存

-

円(税込)

江戸時代中期─後期
出羽国秋田住

赤銅地朧銀地芋継変り形肉彫地透
金象嵌色絵
縦:74.9mm 横:73.3mm
切羽台厚さ:5.8mm
耳際厚さ:5.5mm
特製桐箱入

Mid Edo-Late Edo
Dewa province Akita

Shaku do base oboro ginji imotsugi
Height : 74/9mm Width: 73.3mm
Thickness at seppadai : 5.8mm
Thicness at rim 5.5mm
Kiri box

 秋田正阿弥の鐔といえば誰しも先ず蕗葉透と倶利彫(ぐりぼり)を思い浮かべるのではないか。秋田正阿弥の始祖傳兵衛によって考案された蕗葉透鐔は葉の表を赤銅、裏を朧銀の昼夜造とした大胆な意匠と緻密で詳細な描写の傑作である。秋田名物の蕗は葉の直径が1.5メートル、茎の丈は長いもので2メートルにもなるという。蕗は音が富貴に通じ縁起が良い。さて、本作はどうであろう。朧銀地と赤銅地の葉を組み合わせ、葉の形なりの変り形である。朧銀地の葉は磨地と石目地仕上げで表裏を描き分け、茎と葉で形作った空間を小柄笄櫃とした洒落た造りである。葉脈は金象嵌。層状になった虫喰い跡が面白い。葉に抱き込まれるように一匹の蜂が高彫されている。摺りへがし風の金象嵌色絵が古調を帯び、翅においては透明感を演出している。ところで、これは本当に蕗であろうか。蓮の可能性はないのか。蓮の別名は「はちす」である。蜂をかけた言葉遊びかもしれない。また、蕗だとしたら、蕗の中国名と漢方の生薬名は「蜂斗菜」というのだそうだ。この名が江戸時代どれほど浸透していたか定かではないが、どちらの葉だとしても蜂に関係があるのは偶然か。傳七に聞いてみたいものだ。正阿弥傳七は伝兵衛、伝内に続く秋田正阿弥派の三代目で、初二代同様秋田藩主佐竹家の藩工として活躍した。江戸へ出府し、晩年の安親の弟子となり四年間修業してもいる。技量、感性共に優れ、「草廬三顧図鐔」を筆頭に数々の傑作を遺している。本作も見れば見るほど味わい深い鐔である。
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