芦に飛鳥図鐔 銘 光忠

桃山時代 山城国
真鍮地泥障形鋤彫布目象嵌鋤残捻返耳
縦82mm 横77.7mm 切羽台厚さ2.5mm
特製落込桐箱入 仕覆付

Mitsutada

 光忠については謎が多い。明寿に似た作風であり、さらに古調な風合いから明寿を先行する金工であったと考えられている。光忠が題に得たのは、文様風の扇面地紙散し図や桜花散し図が有名。本作はたわわに実る葡萄を表に、裏には芦原に潜む小動物と、翼を大きく広げた鷲を描いている。いずれも我が国の風土が生み出す豊穣なる大地の様子と、そこから見出された自然美を意味する古典的な題材である。真鍮地を飾り気のない泥障形に仕立て、金家や明寿のように捻返耳として変化を付け、鎚の痕跡を残して微妙な抑揚のある地面に仕上げており、その造り込みはひょうげものの評価のある織部焼の風合いに似るも、それに比して一際古風。さらに興味深いのは、明寿にもある地面に偏在する鑢目のような地文様で、真鍮地独特の腐らかしによって生じた、焼物の窯変や貫入に擬えられる自然な景色の一つ。古典的な金銀の布目象嵌による消え入りそうな草木は古画の筆跡の如し。

特別保存

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芦に飛鳥図鐔 銘 光忠
芦に飛鳥図鐔 銘 光忠