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木曽義仲願文図鍔(鐔)

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無銘 古金工

Tsuba "Kiso Yoshinaka theme"

Unsigned Ko-kinko

No.

861

木曽義仲願文図鍔(鐔) 無銘 古金工

特別保存

-

円(税込)

室町時代後期─桃山時代
赤銅魚子地竪丸形高彫色絵鋤残耳
縦:71mm 横:67.5mm
切羽台厚さ:4.2mm
耳際厚さ:5.9mm
特製桐箱入

Late Muromachi period to Momoyama period
Shakudo nanakoji takabori iroe sukinokoshi-mimi
height: 71mm
width: 67.5mm
thickness at seppadai: 4.2mm
thickness of mimi: 5.9mm
kiri box

 寿永二年(1183年)五月、義仲軍は、越中加賀国の国境砺波山にて圧倒的な兵力を誇る平維盛軍と対峙し、勝利する。世に言う「倶利伽羅峠の戦い」である。この戦を前にして義仲は戦勝祈願の願文を軍師の覚明に起草させ、埴生八幡神社に奉納した。本作は正にその場面を彫り描いている。漆黒の赤銅地に整然と並ぶのは古風な縦魚子。時代の上がる絵風鐔に共通する表裏図変わりの様式と相俟って一層古色を感じさせる。耳は覆輪ではなく地を鋤下げた鋤残耳である。扇を手にし、床几に腰掛け、長い太刀を佩いた義仲。鳥居の前で薙刀を置き、跪いて願文を開く武者。高彫は紋高く立体的で、展開する物語の間に配置された松や水辺は目にも鮮やかな金色絵。一方裏側は、主題を下方に置き、大きく空間を取っている。春の夜、三日月の下、波頭の立つ荒れた川を大木に乗って漕ぎ渡る人物がいる。良く日焼けした体は素銅で表され、黒色化した銀の月、楓と松、迫りくる波の金色に囲まれ常人とは思えない雰囲気を醸し出している。この図は長伯房図という。狩野元信の下絵を用いて後藤宗家四代光乗が製作した長伯房図笄、後藤宗家十二代光理の折紙が附された紋光乗 光理花押の費長坊・長伯房図小柄が有名で、ご存知の方も多いと思うが、珍しい上に謎の多い画題である。鶴に乗った人物が費長坊(費張、飛張ともいう)で、仙人列伝にも記載があり、江戸時代には見立絵にも描かれている。一方、長伯房は画題を説明する資料を今のところ発見できないでいる。どんな人物なのだろうか。そもそも人なのか。何故舟ではなく枝のついたままの木を漕いでいるのだろうか。それにしても、金家の作をはじめ、絵風の古い鐔は何故表裏図変わりのものが多いのだろう。これはあくまで仮説なのだが、表の画題とは異なる中国故事や山水風景を採り入れるのが、唐物が珍重された時代の約束事だったのではないか。表裏共に珍しい図であり、入念な作である。
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