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2023年3月25日 3:18:03
Imazu

第九回 武器の形態変化
【「どうする家康」に見る日本刀】
嵐の松本潤さん家康を演じるNHKの大河ドラマ『どうする家康』は、小国三河の領主松平元康(のちの家康)の生涯をドラマチックに描いた注目作です。
前回述べた堀川国広は、まさに家康と同時期に活躍していた刀工です。戦が絶えなかったこの時代は、戦の勝敗によって自らの未来が決するという厳しい時代でした。当然のことながら家康はもちろん往時の武士達も武器や武具を、単なる美術品ではなく、戦を制する重要な戦略物資として認識し、日本刀や甲冑武具の改良を重ねて性能の強化に努めていました。
この戦の時代に鍛えられた国広に代表される日本刀は、平和の時代に鍛造された刀剣にはない独特の雰囲気を持っています。作品が生まれながらに生死を分かつ境界線上にあり、それがために、この時期に鍛造された刀剣には自ずと機能美が備わり、どこか凛とした美しさを持っているように感じます。
国廣
【戦闘様式の変化と武器の変化 太刀から刀へ】
戦国時代にかかわらず、どの時代においても武器や武具は戦闘様式の変化によってより使いやすい形状へと進化しました。
例えば、平安時代から鎌倉時代に用いられた太刀は、後の室町時代に刀に変化したと考えられています。
太刀も刀も基本構造はほぼ同じですが、腰に備える装着方法が異なります。刃を下にして腰に吊るすのが太刀(写真左)、逆に刃を上にして腰帯に差すのが刀(写真右)です。
腰に吊るして戦う太刀の用法と腰帯に差して固定させるという打刀の用法は、戦う上で、かなり大きな違いがあります。戦闘様式の変化が刀身だけではなく拵(外装)の形態にも変化をもたらしたことが分かります。