獅噛双龍唐草文透図鐔 無銘 南蛮

江戸初期
真鍮地変り形肉彫地透
縦74mm 横71mm 切羽台厚さ5.7mm

Nanban

 南蛮文化とは、中国南方の海路を経て我が国に渡来した、ポルトガル、スペイン、オランダなどの西洋人が伝えた宗教や文物のことをいう。
 表題の鐔は、立体的に、しかも複雑に絡んだ唐草文と龍神を四方に組み合わせ、耳際に顰を配し、オランダ東インド会社のVOCの紋章を施した、元来の西洋剣に装着されているような構造の頗る珍しい作。ただし、生ぶの小柄櫃を設け、刀を装着する茎櫃の形態であることから、和製の打刀鐔であることが理解できよう。地金は深みのある色調を呈する真鍮地。西洋剣の鐔と同様にわずかに膨らみのある椀形に仕立て、茎櫃の中央には剣の茎を収めるための四角状の切り込みを設けており、ここにも本歌を想わせる写しの装飾性が窺いとれる。さらに七宝文の中を空洞に仕立てて珠を封じ込め、からからと涼やかな鈴の音を響かせる洒落た造り込みが見どころ。

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