邪気を祓うことから追儺(ついな)の儀式に用いられるのが柊。追儺は、現代では二月の節分行事だが、古くは十二月の晦日に行われていた、新年を迎えるためのもの。次第に習合されて現代の行事となった。真冬でも青々として枯れることなく、先端に鋭い棘を持つことから悪鬼を寄せ付けないとされたもの。赤銅地を極端に肉高く彫り出し、主題の際端(を削ぐように処理して立体感を高めている。地金の色合いは黒々として重厚感に溢れ、彫口も古風に色金を一切用いない素材の美観からなる表現とされている。