笄を縦真っ二つに割ったものを割笄という。二つに割ることでどんな利点が生じるのか本当のところ定かではないが、断面と図柄の合わせ目を見るにつけ、よくもこんなに上手に割ったものだと感心する。本笄の素材は山銅地。大振りで薄形、耳掻の形状からみても時代の上がるものであることがわかる。垂直に深く彫り出された枝菊図は古美濃の彫口を見るようである。古調を帯びた金色絵も好ましい。魚子地には銀の露が散りばめられている。