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伊藤博文所持 摩利支天厨子
Zushi (miniature shrine)
黒漆塗逗子
高さ 三寸二分(九・六糎)
幅 二寸一分強 奥行 一寸三分
桐箱入 仕覆付
Black lacquered zushi (miniature shrine)
Height : 9.6cm
Width : approx. 6.4cm
Dept : approx. 3.94cm
Kiri box / shifuku (pouch)
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円(税込)
No.
明治の元勲伊藤博文が山口県の湯田温泉に遊んだ時、世話になった宿の主人に形見として譲ったと伝えられる漆黒塗の厨子。収められているのは、自在の神通力を持ち、護身、武運長久、宿願成就の神として古来武士に信仰された摩利支天像。昭和六十二年頃、宿の主人の子孫から「長州有縁の人に所持して欲しい」と託された遺品である。
伊藤が懐中にしていたこの厨子は、身分ある知人(或いは皇族か)からの贈物であろうか。黒漆の色合い深く、天井部分には環のついた菊紋金具が付され、菊花文図蝶番で止められた小さな扉を開くと、金色の火焔輪宝を背に、唐花文が彫られた台座に鎮座する摩利支天像が現れる。厨子の内部は鮮やかに彩色され、金粉が厚く塗られて神々しく輝く。伊藤が余人に知られる事なく秘蔵していたためであろう、厨子内の金、摩利支天像の彩色は製作時そのままで、白く端正で美しい顔の摩利支天は全身に静かな覇気を湛えている。
明治四十二年十月二十四日午前九時半、伊藤博文は中国東北部のハルビン駅に降りた所で凶弾に倒れた。享年六十九歳。近代日本政治史に偉大な足跡を遺した伊藤博文の栄光と苦難の日々を知る摩利支天像である。
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