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波に貝図縁頭 無銘 甚五
"Nami ni Kai" (Shellfish and Wave) motif fuchigashira
Jingo
江戸時代初期 肥後国八代住
鉄槌目地鋤出彫金銀布目象嵌
頭:31.4mm 縁:41.5mm
縁の腰高:8.3mm
上製落込桐箱入
特別保存刀装具鑑定書(無銘 甚五)
Early Edo period
Yatsushiro city, Higo province
Iron
Kashira : 31.4mm
Fuchi : 41.5mm
Height of fuchi : 8.3mm
Kiri box
Tokubetsu hozon (Jingo)
特別保存
600,000
円(税込)
No.
極めてユニークな作である。唯一無二といってよいほどの変わった形でありながら、どこかで見たことがあるような不思議な感覚を抱く。似ているのだ、立浪形変り兜に。波そのものを瞬間的に固めてしまったような頭には鋤出し彫りと毛彫で荒々しいうねりと、立ち上がって砕け、広がる波が彫り描かれ、金銀の布目象嵌が施されている。上へ上へと伸びあがって頂点でギュッと丸まったこの形状は爆発的な力が凝縮されているようだ。腰の浅い縁は幅41.5mmと極めて大きく、身幅の広い長大な刀にも対応できる。槌目による陰影に富んだ地鉄は黒々として鍛え良く、全面に波と貝が鋤出彫りと毛彫、金銀の布目象嵌であらわされている。おそらく、軽量で堅牢、実用の理に適った越中形兜を発案し、そこに誰もが振り返るような山鳥の羽毛の頭立を飾った細川三斎公の美意識と時代の風に触発されたのであろう。強烈な個性を見る者に印象付ける甚五の本領が遺憾なく発揮された作である。
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