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左右大透枯れ木象嵌鍔(鐔)

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無銘 伝又七

Tsuba "Sayu osukashi karekizogan"

Unsigned Den-Matashichi

No.

936

左右大透枯れ木象嵌鍔(鐔)無銘 伝又七

特別保存

-

円(税込)

江戸時代初期 肥後国
鉄槌目地十字木瓜形金象嵌
縦:80.9mm 横:77.2mm
切羽台厚さ:3.8mm
耳際厚さ:3.5mm
特製桐箱入

Early Edo period
Higo province
Iron
Height: 80.9mm
Width: 77.2mm
Thickness at seppadai: 3.8mm
Thickness at mimi:3.5mm
Kiri box

 林又七は言わずと知れた肥後金工林派の祖。作品は精巧緻密でありながら、堅苦しさは微塵もなく、気韻生動。本作は、十字木瓜形の鉄地を、切羽台を挟んで左右を大きく透かし、枯れ木象嵌を施したもの。鍛えの良い地鉄の、艶と深みのある錆色の中に槌目の躍動感が混在する様が面白い。左右の大透も十字木瓜の切込みの配分もきっちりと左右対称にはせず、ほんの少しずらしている。その加減が絶妙で、これを計算しているところが名人たる所以であろう。左右の大透は遠見の松であろうか。あるかなきかに面取りされた透の際は溶けてしまいそうな、なんとも柔らかな質感。ルーペを使わず、ぼんやり地鉄を眺めていると、幾筋もの消え入りそうな細い線状の鍛え地の流れが見える。これがなんとも楽しい。枯れ木象嵌は細かく不規則に屈曲し、枝分かれして大透の外側を廻る。これらの小さな現象の重なりが本来動くはずのない鉄の塊に命を吹き込んでいるのかもしれない。
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