腰刻茶漆塗鞘合口短刀拵 附短刀 生ぶ茎無銘 壽命

腰刻茶漆塗鞘合口短刀拵

拵全長一尺一寸六分四厘強(35.3㎝)

柄長三寸三厘(9.2㎝)

縁頭・口金・鐺・裏瓦・栗形・小柄 銀磨地片切彫金色絵 川原林宝斎一作金具 小柄・鞘口金在銘

短刀 生ぶ茎無銘 壽命

美濃国 江戸時代中期 約300年前

刃長七寸二分九厘(22.1㎝)

無反り

元幅八分二厘(2.51㎝)

重ね一分七厘(0.52㎝)

彫刻 表 玉追龍鋤下地肉彫

    裏 護摩箸

素銅着一重はばき 白鞘付

平成29年東京都登録(316681号1月21日) 

 腰一分刻の茶漆塗鞘合口拵。光沢美しい鞘に波図一作の銀地金具が映え、柄は僅かに立鼓がとられて形良く、浅葱色細糸で片手巻の柄に付された上品な雪華文形の銀目釘金具が附されて、心憎い趣向。銀磨地に片切彫で彫り描かれた波は大きなうねりと共に高くせり上がって金点象嵌の波飛沫が飛び、躍動感に満ちて波の高鳴が聞こえんばかり。作者宝斎は江戸後期の京都の名工大月光興の高弟。小柄と鞘口の金具の「一光堂宝斉」「宝斉」の銘字も洒脱で、小柄櫃内にも点描で雲地文が描かれ、見えない所にも意が注がれている。

 付帯する短刀は生ぶ茎無銘ながら壽(とし)命(なが)と極められた優品。寸法の割に身幅広く、重ね充分で無反りの端正な姿。板目に流れごころの肌を交えた地鉄は地景太く働いて肌目美しく起ち、地沸厚くついて関映り立ち、鉄色明るく、生気に満ちた玉追龍と丈比べの護摩箸が浮かび上がって美観は上々。刃文は互の目が間遠く配されて小互の目小湾れでつながれ、匂勝ちに小沸ついて刃縁明るく、小形の金線・砂流しがかかり、沸足太く入り、刃中も沸の粒子が充満して照度が高い。帽子は掃き掛けて小丸に返る。新刀期の兼元や播磨大掾金高ら美濃の著名な刀工を想起させる上々の出来栄え。高位の武士の身嗜文化の実情を今に伝えている。

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