新商品のご案内 短刀 生ぶ茎無銘 月山
出羽国 室町初期永享頃 約五百八十年前
月山は山形県内の至る所からその美しい山並みが望まれ、山頂には天照大神の弟月読命を祭る月山神社を戴き、羽黒山、湯殿山と共に古来尊崇厚い修験道の霊山。
その山麓の寒河江郷谷地で月山を冠した刀工が得意とし、月山肌とも称されたのが、表題の短刀にも見られる綾杉肌と呼ばれる、柾目が大きくうねった独特の地肌である。
表題の短刀は月山と極められた一口。
身幅の割に寸法が延び、わずかに反りが付いてふくらの枯れた姿で、製作は室町前期。
綾杉鍛えの地鉄は地景が太く入り、肌模様が鮮明に現れるも鍛着面が密に詰み、地沸厚く付いて映り立ち、しかも肌が潤って常に見る室町後期の同作とは趣を異にしている。
信仰心厚い武人の需に応えた作であろう。無銘ながら時代の上がる月山の美点が示された作である。
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