雁書図鐔 銘 遊洛斎赤文 行年七十六翁

 この鐔は、雁が遠き国より便りを運ぶ使者であるという古代中国の伝承「雁書」を下敷きにした作。前漢の将軍蘇武が北国でとらわれの身となった際、自らの安否を記した手紙を南に向かう雁の足に結んで故国の皇帝に伝えたという故事による。作者は、寛政二年に越後国村上に生まれ、江戸の浜野家に学び、後に出羽庄内酒井家に仕えた桂野赤文。庄内の先達土屋安親に私淑したものであろう、鉄地を専らとして彫口の鋭い高彫象嵌の手法を極め、迫力のある画面を彫り表した。流れる川面は赤文の得意とした力強い片切彫と鋤彫を組み合わせた彫口で、地面に打ち施された濃密な石目地は秋霧であろうか、起ち込めた霧にふうっと浮かび上がる趣向とされている。芦原に雁は、小栗宗継筆襖絵や土屋安親作芦雁図鐔等で知られるように、禅味を帯びて室町時代以降我が国の武士に好まれた図であり、また、両者からなる構成は、我が国の自然観を示している。

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