心の駒図鐔

江戸時代後期
肥後国人吉住

鉄磨地四ツ木瓜形鋤出高彫
象嵌色絵打返耳
縦:98.9mm 横:95.2mm
切羽台厚さ:3.2mm
耳際厚さ:3.9mm
特製落込桐箱入

Suketsugu

精良で緻密な地鉄の大振りな鐔。片切彫りで表された強い風の中、蜘蛛の巣に馬がかかって暴れもがいている不思議な図である。肉感豊かに躍動感あふれる馬と細くピンと張って緊張感に満ちた金色絵の蜘蛛の巣。大きくとった余白がこの不思議な図をより深く印象付ける。
 自分を捨てた男を恨んで悪鬼となった女の悲しくも恐ろしい物語、謡曲『鉄輪』。盗みに入った家の庭で蜘蛛の巣に搦めとられた男が得意の連歌で許される狂言『蜘盗人』。いずれも「蜘蛛の巣に荒れたる駒は繋ぐとも二道かくる人は頼まじ(たとえ蜘蛛の巣に荒れた駒を繋ぎとめることが出来たとしても浮気男の心をつなぎとめることは出来ない)」という古歌が使われている。また、『徒然草』には葵祭の行進でこの古歌に因んだ衣装が出てくる。人類の永遠の課題ではあるが、よほど馴染み深い歌だったのであろう。資次は江戸後期の肥後明珎派の鐔工。

特別保存

250,000

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