黒漆塗沢瀉紋金粉蒔絵刀掛

 黒漆塗に金粉蒔絵にて立沢瀉、抱沢瀉など四種類の沢瀉紋を、さらに永楽通宝紋や丸に頭合わせ三つ木文字紋などの家紋を散し配した刀掛。
 持ち手を横に渡す形式は大名家の遺例に多く見られるもので、遠く織田信長を思慕したものであろうか、永楽通宝紋が描かれている点が興味深い。永楽銭は明朝の永楽帝時代の銭貨のことで、北方の小皇族より身を興し、己が軍略を以て明朝最大の版図を築き上げた永楽帝に、信長が自らの姿を重ね合わせて紋所としたものと思われる。一方沢瀉は、前にのみ進んで後退しない蜻蛉(勝虫)が羽根を休める植物として、また網目のように根を張って成長することから繁栄の象徴として好まれ、毛利元就が家紋に採り入れたことは良く知られている。

黒漆塗沢瀉紋金粉蒔絵刀掛