top of page

養由基図小柄 銘 松寿軒美長

 中国春秋時代、楚の国の人で、古今を通じて弓の名人と知られた養由基は、「百歩離れた柳の木の葉を百発百中で打ち抜いた」、「飛んでいる蜻蛉の片翅だけを射切った」、「弓を構えただけで猿が命乞いをするほどの覇気」、等々の逸話がある。本作でも放たれた矢は真直ぐ飛ぶ鳥へと向かう。四分一地と赤銅地の昼夜仕立てになる本作。深々とした輪郭線で強調された鋤出高彫は、実体感のある抑揚を付けた肉取り。翻った衣の柔らかな風情、そよぐ髭の繊細な毛彫、微細な点刻で表された衣の文様など丁寧で詳細な描写が光る。冷静沈着な養由基の表情も見所。軍地与五郎、谷田部通壽に始まる水戸金工の本流玉川派の美長は和漢の人物や故事を得意とした巧手。

養由基図小柄 銘 松寿軒美長
bottom of page