霞松透図鐔 銘 埋忠宗武

 宗武は京に栄えた埋忠明壽の流れを汲む工で、明壽の通称「彦次郎」を銘に切り添えた作や、元禄十六年の紀年銘のある作もあり、埋忠家の本流の一人である。大振りな造り込みのこの鐔は、明壽も好んだ琳派の美観を採り、風景の文様表現を突き詰めた作。松の樹林に起ち込めるのは霞か霧か、穏やかに起伏する肉彫に繊細な松葉の毛彫、透かしは大気の流れを暗示し、我が国の自然観に応じた美しい景色となっている。地鉄は緻密で色合い黒く、石目地仕上げで渋い地相を呈している。

霞松透図鐔 銘 埋忠宗武