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蟇蛙図目貫 無銘 水戸金工

 月には蟇蛙が住んでいるという。古代中国の伝説だ。その蟇蛙は、元は嫦娥という美しい仙女で夫の羿が西王母からもらい受けた不老不死の薬を盗んで月に逃げ、蟇蛙に姿を変えられたのだという。日本では、『今昔物語集』中の安倍晴明の話や、蝦蟇の妖術使い、蝦蟇の油売りなども連想される。神秘的なイメージのある生き物だが、本作に関して言えば、「そんなことはどうでもいいよ。」と言いたくなる。円らな瞳に、思わず触りたくなるような福々しい丸いお腹。ゆっくりと移動するその姿。素銅地を強く打ち出し、銀象嵌と色絵による写実的な描写に愛嬌を加味した、思わず頬が緩む楽しい作品である。

蟇蛙図目貫 無銘 水戸金工
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