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菅公留守模様図鍔(鐔) 銘 肥前国住忠行作

東風吹かば 思い起こせよ 梅の花 主なしとて 春を忘るな 『捨遺和歌集』
海ならず 湛える水の 底までに 清き心は 月ぞ照らさむ 『新古今和歌集』

 菅原道真が詠んだ歌二首を象徴する情景を表裏に描いた菅公留守模様図。鍛えの良い鉄地は錆色深く、滑らかな手触り。梅樹の背景に深く、浅く打ち込まれた槌目は霜を置いた土にも、降る雪にも見える。天に向かって伸びる細い枝にはふっくらとした高彫で可憐な梅花が咲き匂い、折れて節くれだった太い幹は高彫に荒々しい鏨運びで老木の肌を表している。裏面は、大宰府へ左遷の途上、備前国児島郡八浜で詠んだとされる「海ならず」の歌の景色。ただ一艘の船が行く先を彼方の月が煌々と照らしている。
 忠行は肥前刀工忠吉の末に連なり、嘉永三年三月日と年紀のある風景図鐔を遺している。

菅公留守模様図鍔(鐔) 銘 肥前国住忠行作
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