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茎図目貫 金象嵌銘 享保十九仲秋日於成滝淬之 豊後太郎本行八十三吹毛剣

 豊後国行平の末裔と称した本行(松葉本行)は、承応元年豊後高田に生まれた。初銘を行春と切り、延宝頃に肥前に移住して唐津藩に仕え、河内大掾を受領した。元禄頃には江戸に出て、鎌倉の伊勢大掾綱広と交わり、相州伝の鍛法を修め、さらに本阿弥家を訪ねて自作を問い、技量を認められて「本」の字を授かり、「本行」と改名。晩年「本」の字をこぼれ松葉のように切ったことから「松葉本行」の異名で呼ばれている。進取の気概に溢れ、行動力のあった人物を想像するに難くない。
 本作は、本行が八十三才の時に製作した茎図の目貫。同じ年に刃長二尺三寸四分五厘「豊後太郎本行八十三歳作 吹毛剣 享保十九甲寅年淬於飯田山成瀧清水」と刻銘した刀を鍛刀している。吹毛剣(すいもうけん)は、ふっと吹きかけられた毛もスパッと切れる名剣のこと。その剣で断ち切るのは人の煩悩や執着だという。於成滝の成滝は鳴滝ともいい、唐津市神田の飯田山観音付近にある。その瀧の水を汲んで焼き入れに使ったのであろう。深い錆色に鮮やかに金象嵌銘が輝く、松葉本行の貴重な目貫である。

茎図目貫 金象嵌銘 享保十九仲秋日於成滝淬之 豊後太郎本行八十三吹毛剣
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