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秋草遊兎図笄 無銘 古後藤

 極上の深い黒色を呈する赤銅地はそれだけで出自の良さを予感させる。やや細身で端正な姿。くっきりとした眉形を飾るのは古風な形の金蕨手。薄、撫子、菊、秋の草花の間を跳ね回る兎が画面いっぱいに展開される。際端を絞り肉高く立体的に彫り出された高彫はふんだんに金色絵が施され実に華やかである。一見ただ可愛らしいだけのように見える兎だが、よく見れば筋肉質。装剣小道具の意匠には勿論のこと、変り兜の前立てにも兎は採用されている。月の精で瑞獣とされていた兎。前へ前へと敏捷に跳び馳せる様が戦国武将にも好まれたのであろう。躍動感と生命力に満ち溢れた佳品である。

秋草遊兎図笄 無銘 古後藤
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