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源氏物語夕顔図二所物 銘 野村正英(花押)

 世界に誇る我が国の古典文芸『源氏物語』の中でも好まれて描かれた場面、夕顔を訪ねた光源氏が題材。人物を描かず、主題を匂わせる幾つかの要素のみで、光源氏と夕顔の逢瀬の時間を暗示している。極上質の赤銅地は色合い黒々として光沢強く、その一方で細やかにしかも粒の揃った魚子地が光を吸収し、高彫された主題を一際鮮明に浮かび上がらせている。正英(まさひで)は秀五郎と称し野村家の七代目。後藤家に学んだ野村家の作風は構成の確かさと彫口の精密さを極めたもので、この二所でも、装飾された御簾の下がる車、絡みついた夕顔の蔓と花、牛の姿までも細部に亘って写実的。 

源氏物語夕顔図二所物 銘 野村正英(花押)
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