波に藻貝図鐔 無銘 鏡師

 鏡師による鐔は、鋳造という製作上の特性から、地面に浮かび上がる文様の表面やその背景となる平面に砂目が現れ、鏨による彫刻とは異なった渋い質感が大きな魅力となっている。この鐔も、古鏡のように円周状に波と藻貝の文様が施され、微細な凹凸のある地面も砂浜を思わせ、優れた構成美の展開に見入る。素材は古調な色合いを呈する山銅地で、打ち返したような耳の構成線も波打ち際を想わせる。

波に藻貝図鐔 無銘 鏡師