波に烏図小柄 銘 栄乗作 光侶(花押)

 大海原を背景に飛翔する烏を古風に彫り描いた小柄。後藤宗家六代栄乗の作であることを、同十代廉乗光侶が極めて刻銘している。繰り返して寄せる波を山銅地で描き、漆黒の赤銅地で烏を高彫表現している。烏の身体は時を重ねて表面がなだらでいかにも古風。派手にならずに素材が持つ風合いも良く示されている。古代、烏は神聖な鳥として尊ばれていた。熊野八咫烏の伝承も良く知られている。後藤らしい風格の漂う中に、神々しさが窺いとれる作である。

波に烏図小柄 銘 栄乗作 光侶(花押)