武蔵野透図鐔 無銘 赤坂

 嵐の過ぎ去った後の武蔵野。芒原に三日月は赤坂鐔工が好んで表現した図柄の一つで武蔵野と呼ばれている。本作は巴状に芒葉を組み合わせて夏から秋への季節の移ろいを表現している。鉄色黒く、表面は微細な石目地によって渋い光沢に包まれている。草露の光る葉の隙間には三日月と雁であろうか、あたかも芒原に寝そべって大空を見上げているかのような構成。葉の構成線に強弱変化をつけ、さらに捻りを加えているところに新趣が感じられる。

武蔵野透図鐔 無銘 赤坂