桜樹親子牛図鐔 銘 冨士直之(花押)

 桜の下で草を食む牛を題に得た、鄙びた風情が魅力の鐔。桜は花霞に包まれながらもなお存在感があり、繋がれているのは母牛であろうか、近くを遊歩する子牛の表情もいい。裏面は野に伏臥する牛で、視線はどうやら表の母子に向かっているようだ。赤銅地は表面が磨き出されて光沢が強く、高彫された牛は立体的。金の色絵が鮮やかに映え、目玉が丸い赤銅地で艶やか。銘字の藤を冨士と洒落ているのであれば直之は柳川一門の加藤直之であろうか。

桜樹親子牛図鐔 銘 冨士直之(花押)