柿本人麻呂図目貫 無銘 山崎一賀

 柿本人麻呂の端正な姿と、その代表作「ほのぼのと明石の浦の朝霧に島隠れ行く舟をしぞ思ふ」を絵画風に彫り描いた作。彫口深く立体的で、人物の表情の細やかさの再現を得意とした山崎一賀の作と極められている。この目貫も一賀の特質を鮮明に示したもので、人麻呂の顔つきは上品で穏やか、額の皺まで彫られている。桐の合間に浮かび上がった明石の海原も、松樹の繁る島の様子、遠く見え隠れする帆掛舟も長閑。和歌の世界観を良く再現している。

柿本人麻呂図目貫 無銘 山崎一賀