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松図縁頭 無銘 勘四郎

 潜望鏡?首長竜?蕨や薇の若芽?変り兜の立雲形や浪頭形にも似ている。この特異な形をした頭の先端を何と形容しよう。そもそも一体何に影響されて、何をモチーフにこんな形を思いついたのだろうか。聞けるものなら作者に聞いてみたいものである。肥後拵の頭には変わった形のものが多いのだが、その中でも本作は突出している。勇猛果敢な武将であり利休七哲に数えられる茶人でもあった第一級の文化人細川三斎公の美意識によるところか。鉄地という実用に即した素材で、目立つことを第一義とした戦国期の変り兜さながらに奇抜な意匠でこちらの度肝を抜く。兜の立物のような長い突起部は頭を貫いて裏側で止められている。一度窄まって緩やかに裾広がりとなった棹部と頭の取り合いが違和感なく自然に馴染んでいる。くるりと丸まった先端部は柔らか味を感じさせ、どことなく可愛らしく飄逸味がある。腰の浅い太鼓形の縁は地に槌目の陰影を残し、金と黒色化した銀の布目象嵌で松の大木を表している。奇を衒うことを躊躇わない傾奇者の意気が残る江戸初期の美意識を伝える貴重で希少な作品である。

松図縁頭 無銘 勘四郎
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