木賊刈図鐔 無銘 土屋派

 
 土屋安親は、人間そのものを表現することで、装剣金工の分野に新たな地平を切り開いた芸術家。殊に木賊刈の図は、拐かされたわが子を想う父の姿を、月、木賊、それを刈り取る鎌といったごくわずかな素材のみで劇的情景に仕上げている作品である。その安親同然のこの鐔も、鉄地全面に変化のある石目地を施し、図柄は極端な高彫ではないにもかかわらず奥行きと立体感が生まれ、夕暮れ時の静かな空気までも表現している。

木賊刈図鐔 無銘 土屋派