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月に時鳥図鍔(鐔) 無銘 東龍斎派

 大振りの撫角形はほんの少し下部が張り、全面に槌目を施して打ち返し耳となる。江戸後期の東龍斎派によくみられる手法。表側には月光に輝く雲間を鳴きながら飛ぶ時鳥。夏を告げるこの鳥の初音を聞こうと古人は一晩中起きていたという。何とも優雅なことだ。とはいえ、本作の時鳥は、喉も裂けよ、とばかりの必死の形相にも見える。「不如帰去」と血を吐くまで鳴いたという杜宇の伝説を想起させる。裏面は銀象嵌の大きな朧月。初夏の花、卯の花や橘と共に歌に詠まれる時鳥。橘の香る月夜の情景を切り取った作。

月に時鳥図鍔(鐔) 無銘 東龍斎派
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