山水風景図縁頭 銘 伊藤正寿作

 せり出す岩山。切り込んだ谷を流れ下り三筋となって湖に落ちる瀧。湖面を風にのって走り行く帆掛け舟。それらの様子を木の間から眺めているのは李白であろうか。古典的風景図を、李白の視線を借り、まさに目前に広がる実景のように表現している作品。赤銅地を高肉に彫り出し、岩肌の織り成す様子を朧銀地鋤彫で表現し、水を浴びて茂る樹木は金の色絵。縁に描かれた松の古木の洞を通して眺めた舟遊びの様子も精巧。正寿は政寿とも銘する武州伊藤派の金工。

山水風景図縁頭 銘 伊藤正寿作