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二十四孝 王祥図小柄 無銘 加賀後藤
中国元代に編纂された孝行で有名な二十四人の人物を取り上げた書物『二十四孝』。現代では馴染みの薄い話ばかりだが、寺子屋の教材にも使われていたというから、昔の人はこの画題を見て直に『王祥』の物語であると理解したであろう。銀色絵に氷割文を施すことで凍った川を表し、岸辺の解けた氷の下には川の流れと金色絵の魚が二匹。傍らに立つ男性の頭髪は唐風で上半身は裸、足には沓を履いている。王祥は早くに実母を亡くし、継母から酷い扱いを受けたが恨みに思うことなく良く仕えた。川も凍結する極寒の折、魚が食べたいという継母の望みを叶えようと王祥は川へ向かう。当然だが川はカチコチに凍っている。魚なんて影も形も見えやしない。悲しみのあまり裸で氷の上に伏せていると、氷が解けて魚が二匹出てきた、という物語である。赤銅魚子地を背景に王祥と魚を中央に配して主題を明確にした本作は、金銀色絵をふんだんに使って物語の世界を豊かに表現している。

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