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串海鼠透鍔(鐔) 無銘

 鍛えた地鉄の層が地や耳、透の内側にも表れ、乾燥した海鼠の質感をも表している。画題の面白さと共に素材そのものの表情にも着目したい。長らく糸巻き透、干海鼠透と呼称されてきた意匠だが、正しくは串海鼠(くしこ)である。イエズス会宣教師が1603年から1604年にかけて長崎で発行した『日葡辞書』にも串海鼠(cuxico)の記載がある。佐藤寒山博士は『肥後金工大鑑』において、「尾張透に始まる図案」と考察されているが、層状の鍛え肌などから鑑みて、本作はあるいは二子山則亮系の鐔工の手によるものかもしれない。力強く引き締まった地鉄が意匠の面白さをより魅力的にしている。
*串海鼠図に関しては、銀座情報384号館蔵品鑑賞ガイドをご参照ください。

串海鼠透鍔(鐔) 無銘
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