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三匹蝶図小柄 無銘 後藤栄乗

 後藤宗家六代栄乗は、先代徳乗の嫡子で天正五年の生まれ。父に伴い豊臣家に仕え、文禄三年に家督を相続するも、関ケ原以降は隠居を余儀なくされる。後に家康と秀忠に願い出て御家再興を許され、分銅大判改め役と彫物役を任命される。動乱の時代を生き、武士が一際華やかであった世相に応じて覇気ある装剣小道具を製作した名工である。この小柄は短刀の備えとしたものであろう、黒一色の赤銅地が示す景観を主体とする、武士の備えとして重厚かつ美しい作品。奇麗に揃った魚子地に三匹の蝶がくっきりと浮かび上がっている。

三匹蝶図小柄 無銘 後藤栄乗
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