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七夕(鵜飼・鵲橋)図縁頭 銘 堀江興成花押

 小舟の舳先で篝火を焚き、鵜を使って鮎漁をする鵜飼漁は夏の風物詩。仄明るい四分一地に高彫で近景の篝火、小舟、鵜、芦を、遠景は毛彫に色絵の技法で表現している。波も同様に高彫、毛彫を巧みに配し奥行きと流れの緩急を演出している。夜空の夏の風物詩といえば、年に一度、晴れた七夕の夜に天の川での逢瀬が叶う牽牛・織女の七夕伝説であろう。新暦の七月七日は梅雨真っ盛りだが旧暦であれば晴れた日が多い。それでも雨が降ってしまった時は、鵲が互いの翼を繋げて橋を造り二人の逢瀬を助けるのだという。日本ではあまり馴染みのない話であろう。働きづめの二人に対する憐みの気持ちから生まれた中国の民間伝承である。本作では、沸き起こる雲の間に懸けられた橋上の番の鵲が牽牛・織女を表しているのであろう。四分一地に浮かび上がる赤銅地高彫は際端が引き絞られて立体的。羽毛は細かい毛彫、目は金の露象嵌で愛らしい様子をしている。堀江興成は、浜野政隨家、大森家に学び、また、交友のあった尾崎直政から後藤家の彫法を学んだ。独立後、阿波蜂須賀家の抱工となった優工である。

七夕(鵜飼・鵲橋)図縁頭 銘 堀江興成花押
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