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七夕図鍔(鐔) 銘 春明法眼花押 嘉永辛亥初秋

 夕映えの空を思わせる素銅磨地。撫角形の中央を絞った印象深い造形はどことなく糸巻にも似て、鐔全体で織姫を連想させる。打ち返し耳に敢えてかかるように三日月を配し、わずかに鋤き出して石目地を施した橋の傍らに二羽の飛翔する鵲を赤銅地高彫象嵌して七夕伝説を表した、春明の心憎い洒落た画面構成である。春明は柳川直春の門人。独立後はたびたび東北を訪れ、出張制作をした。漂泊の俳人、絵師など地方の裕福な商人や地主などに請われ、その土地へ赴いて制作または指導をした松尾芭蕉や与謝蕪村のように、春明もまた北国へ赴いたのであろうか。旅による制作への刺激も多かったことだろう。会津金工の明義や明周、田辺伴正、田辺明伴、大石明親など優れた門人も養成した。晩年の弘化、嘉永頃は越後地方を遊歴。嘉永辛亥(1851年)初秋と刻された本作は越後にて制作されたものであろう。

七夕図鍔(鐔) 銘 春明法眼花押 嘉永辛亥初秋
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