Copy right Ginza Choshuya

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​ 日本刀専門店銀座長州屋が四十年以上にわたって蓄積してきた刀装具などの武家美術品を順次アーカイブスに掲載して参ります。ご所蔵の作品との比較や、研究資料としてご利用いただければ幸甚です。尚、写真資料はサーチボックスからも検索可能です。検索の際は常用漢字をご利用いただくようにお願いします。また、掲載のお品は基本的にすべて当社の商品(旧商品)です。御品についてご質問等ございましたらお気軽にご一報下さい。
鷹匠道具蒔絵刀掛
鷹匠道具蒔絵刀掛

 この刀掛は、鷹匠道具を、堅木地の流れるような杢目肌を背景に活かし、盛上蒔絵と金切金で量感豊かに表現した極上の作。描かれているのは丸鳩入、餌合子、策、忍縄、水差、尾鈴など。丸鳩入と餌合子は、いずれもふっくらと肉取りした上に色の違えた金、銀を割り込んだ金、朱粉などを蒔絵し、蓋の文様は菊紋に唐草、梅花散し、牡丹唐草で、下地は霞のように淡い暈しを施して文様を鮮明に浮かび上がらせている。大緒は朱漆の表面に金の付描で繊細な線描と点描、一部に銀を蒔いて濃淡変化をつけている。水差は竹を意匠したもの。裏の餌合子の陰に控えめの尾鈴が描かれている。これらの文様は贅沢な金切金で、その表面には文様が薄肉に表されている。側面や台座など主題の周囲の装飾は、七宝文と唐花文の組み合わせ。微妙に色を違えた金粉による、七宝文は盛上蒔絵、唐花文は平蒔絵。総体に細やかでしかも手の込んだ技法が駆使されている。

唐草牡丹文金具床几
唐草牡丹文金具床几

 戦場における上級武将の携行椅子を、床几または胡床と称する。本多忠勝や鳥居元忠、結城秀康など多くの戦国武将が甲冑に身を包み、床几に腰掛けた肖像画を遺している。交差させた黒漆塗の支柱に黒漆仕立ての革座を設けたこの床几は、漆黒の赤銅金具に品の良い片切彫で唐草文と牡丹文を装飾とした極上の造り込み。状態良く上質の赤銅金具になる床几の遺例は極めて少ない。

鉄錆地三十二間筋兜
鉄錆地三十二間筋兜

 日州飫肥伊東家の家紋として知られる庵木瓜紋を吹返しに備える、義通様式を踏襲した三十二間筋兜。即ち、僅かに前方が盛り上がる前勝山形、筋立の高さが腰巻部から天辺部までほとんど変わらず四点鋲がやや長め、眉庇の中央部分がやや尖るところなどに義通の特徴がある。眉庇中央には下方蜻蛉尻形と呼ばれる独特の祓立台が共鉄の笠鋲にて据えられ、日輪前立が備えられている。

鉄地朱漆塗板物四段垂切付小札半頬
鉄地朱漆塗板物四段垂切付小札半頬

 赤備の具足は武勇に優れた武士に着用が許されたと伝える。色鮮やかな朱色と上品な紺糸がよく映えて美しい。

鉄五枚張黒漆塗置手拭形兜
鉄五枚張黒漆塗置手拭形兜

 雑賀鉢に代表される置手拭形兜の貴重な遺例。五枚の鍛鉄を巧みに矧ぎ併せた桃山時代の変わり兜。置手拭の名称は頭頂部に設けられた矧板の形状が折りたたんだ手拭を想起させることからのもの。荒々しい共鉄鋲が鉢の要所に穿たれて頑強に製作されてる。

鉄地黒漆塗鉄板物三段烈勢面頬
鉄地黒漆塗鉄板物三段烈勢面頬

藻獅子革に板物三段垂を備え、長めの緒便り鋲を花菱座の上に設けてる。耳の形状が精密に再現され、顎の打ち出しも強く出来が優れている。

鉄地茶漆塗鉄板物四段垂翁面
鉄地茶漆塗鉄板物四段垂翁面

 深い切耳に頬骨を強く打ち出した高貴な面相になる翁面。顎の打ち出しが特に素晴らしく三日月のように張り出した曲線が印象的である。花菱座に緒便りの鋲を左右に一本つづ打ち立て、汗流しの穴と顎下に尖鋲を打つ。

鉄茶漆石目地塗金泥板物切付小札四段垂猿頬
鉄茶漆石目地塗金泥板物切付小札四段垂猿頬

 耳に六星の小透かし、垂は金泥とした華やかな猿頬。緒便りの折金まで茶の漆が残っており、半頬本体の保存状態は良好。濃淡二色の威し糸が用いられている。

丸に三つ割木瓜紋陣羽織
丸に三つ割木瓜紋陣羽織

緋色に三つ割木瓜紋を配した陣羽織。紅白の華やかな色彩の対比がいかにも武家の装束らしく威風堂々として好ましい。

鉄地黒漆塗六十二間小星兜
鉄地黒漆塗六十二間小星兜

 鉢の表面に無数の小星を打ち込んだ六十二件小星兜。鍛えの強い鉄地を幅数十ミリほどの細い板に仕立て、僅かに筋を立てて一行三十点の小星で矧ぎ合わせた堅牢な造り込みの兜。前立には大振りの日輪形を備え、綴は茶漆塗五段とし紺糸素懸威としている。

金梨子地塗鐔蒔絵刀掛
金梨子地塗鐔蒔絵刀掛

 微細な平目地の金粒が際立つように黒漆を下地とした金梨子地塗に、江戸後期に製作された装剣小道具をそのまま台に嵌め込んだかのような、立体的高彫と多彩な色合いの蒔絵を駆使して装飾とした、美しい刀掛。配されている小道具類は、表に大月光興の馬師皇に張果老図鐔、猿廻し図鐔、鍾馗図小柄、裏には水戸打越派弘直の太公望図鐔、大黒天と達磨図鐔。いずれも量感豊かな描刻で、銘までもそのままに彫り表している。江戸時代中期には貝殻や象牙、陶器、金工作品などを蒔絵や漆絵の中に組み込ませる奇抜な表現手法で人気を得た小川破笠がいる。本作は装剣小道具の数奇者が、自らの蔵品を手本に意匠させたものであろう、破笠の作とは言い得ないが、御刀を飾るに適した、妙趣ある出来となっている。

猛虎図鐔 銘 遊洛斎赤文 かつら文子
猛虎図鐔 銘 遊洛斎赤文 かつら文子

 木瓜形崩しの変り形は何を意味するのであろう、特に横の凹んだ構成線は拵に装着して転げない工夫であろうか興味深い造り込み。地金は色合いに深みのある朧銀地で肉厚く、表面は微細な石目地仕上げとし、赤文一門の得意とする強弱変化のある片切彫を濃密に施して雲間に潜む龍に吠えかかる猛虎を活写している。図柄は土手耳の内側にあり、これに虫食いの小穴を施して古い絵画を想わせる作としている。文子は初代赤文の子或いは姪と考えられている。赤文の銘まで写したものか、あるいは師弟の合作か。

水辺白鷺図鐔 銘 後藤法眼一乗(花押)
水辺白鷺図鐔 銘 後藤法眼一乗(花押)

 後藤一乗は、後藤七郎右衛門家四代重乗の子で、寛政三年に京都に生まれた。兄に次左衛門家を継いだ是乗光煕が、弟に七郎右衛門家を継いだ久乗光覧がおり、いずれも一乗に劣らぬ技量と鋭い感性を保持している。九歳で八郎兵衛謙乗の養子となり、半左衛門家の亀乗に金工技術の手ほどきを受け、謙乗の没後に家督を襲い、後藤家の伝統を重んじた龍神や獅子図などを製作している。工銘は、はじめ光貨と切り、光行、光代と改め、光格天皇の御剣を製作して法橋の位を授かり一乗としている。天保年間には江戸の芝新銭座町(現港区浜松町駅辺り)に工房を構え、高い人気を得て多くの注文を受けたが、文久二年に孝明天皇の御太刀製作のために京に戻っており、この功績により法眼に叙せられている。齢七十三であった。

雪華文図鐔 銘 後藤法橋一乗(花押)
雪華文図鐔 銘 後藤法橋一乗(花押)

 降り積もった雪が朝日を受けてキラキラと輝く。雪の結晶の観察には拡大鏡など必要としないが、気温の上昇と共に溶け、子細に見ようと顔を近付けただけも体温で溶けてしまう。そんな儚い存在であるが故に、しかも自然が造り出した繊細な美を秘めているため、江戸時代にはこの文様が大いに流行している。これはまた、八郎兵衛家六代目の後藤一乗の得意とした意匠であった。極上の赤銅地を浅い切り込みのゆったりとした障泥木瓜形に造り込み、地荒らし風に積もった雪を表現、この上に降り掛かっているかのように雪の結晶を丁寧に彫り描いている。裏面は雪華を下に布置している。  特別保存刀装具鑑定書 

富岳松原図鐔 銘 吉村一啓(花押)
富岳松原図鐔 銘 吉村一啓(花押)

 風情ある美観の要素となった鉄石目地甲(こう)鋤(すき)彫(ぼり)を駆使し、三保松原から眺めた図であろう、雪の残る富岳に帆掛け舟、彼方に水平線を、近景に砂浜と松を描いて雄大な駿河の海のとの対比を鮮明にしている。一(いっ)啓(けい)は鶴作と称し文政六年の生まれ。独立後は佐賀に開業して栄えた。  特別保存刀装具鑑定書

竹雀図笄 銘 鶴府白坤之居中川一的
竹雀図笄 銘 鶴府白坤之居中川一的

 後藤一乗の高弟一的は美作の出で、中川家の十一代目。兄に一匠と勝義がおり、自らは津山松平家に仕えた。朧銀地を細かな石目地に仕上げ、金の平象嵌と繊細な片切彫で雀を描いている。竹林は強弱変化のある得意とした片切彫。裏は松若で、いずれも冬に青々とした葉を茂らせる植物。添銘された「鶴府」は、鶴田藩(幕末から明治にかけての美作国の藩)のことであろう。

柿本人麻呂図目貫 無銘 山崎一賀
柿本人麻呂図目貫 無銘 山崎一賀

 柿本人麻呂の端正な姿と、その代表作「ほのぼのと明石の浦の朝霧に島隠れ行く舟をしぞ思ふ」を絵画風に彫り描いた作。彫口深く立体的で、人物の表情の細やかさの再現を得意とした山崎一賀の作と極められている。この目貫も一賀の特質を鮮明に示したもので、人麻呂の顔つきは上品で穏やか、額の皺まで彫られている。桐の合間に浮かび上がった明石の海原も、松樹の繁る島の様子、遠く見え隠れする帆掛舟も長閑。和歌の世界観を良く再現している。

福神相撲図目貫 割短冊銘 山崎一賀
福神相撲図目貫 割短冊銘 山崎一賀

 布袋和尚が恵比寿様のまわしを摑んで投げようとしている。米俵に腰をかけた大黒様は行事。なんとお目出たい場面であろうか、江戸時代には福神相撲や大黒舞などが神社に奉納され、正月が彩り豊かに演出されたのである。この図は我が国の伝統文化を伝えるもの。山崎一賀は仁左衛門と称し京の後藤就乗の門人。精巧で緻密な人物描写を得意とし、本作のように後藤に紛れる古風な彫口の作品を遺している。赤銅地を打ち出し強くふっくらとした高彫とし、金銀の色絵を加え、人物の描写も後藤風。

花唐草文図鐔 無銘 与四郎
花唐草文図鐔 無銘 与四郎

 応仁鐔に始まり、装飾手法に進化が見られた平安城象嵌鐔に続くのが与四郎鐔と呼ばれる一類。平滑に処理した鉄地に平象嵌の手法で、唐草文や欄間のような透しのある家紋を濃密に組み合わせた表現を特徴とし、「和泉守小池直正」あるいは「小池与四郎」と銘された鐔があることからこの呼称がある。花文を唐草と組み合わせたこの鐔は、特に鉄味が優れて掌中においても滑らかな質感が伝わり来る極上質の作。肉厚く重量があり堂々とし、色合いも黒々としており、渋い色調の真鍮地の模様を平地から耳にまで綺麗に浮かび上がらせている。  特別保存刀装具鑑定書(与四郎)

中筒火縄銃 無銘
中筒火縄銃 無銘

銃身に葵紋と鯉の滝登り図を象嵌した華やかな作ながら、寸法を控えめに操作性を高め、口径を大きくして威力を追求した中筒。火縄銃の性能の一つに破壊力がある。この銃から射出される弾丸の重量は六匁(二二・五グラム)、おおよそ五円玉六枚強に相当する。これを火薬の爆発力で発射させるためには、粘り強い素材からなる頑丈な銃身が不可欠。鉄炮鍛冶は鋼の性質を見極め、破裂の起こらない良質の鋼を合わせ鍛えたのであった。 本作の銃身は表一角と呼ばれる丸筒の上面を平にした珍しい形状で、先端の柑子は八角とし、表面に丸味を持たせる一方、最先端部には角張った八角縁を廻らしている。銃身表面には笹竹の生い茂る瀑布を遡上する鯉を銀の布目象嵌で大胆に、激流や笹竹は繊細な銀の平象嵌で表現している。加えて、滝より飛び散る水飛沫を意図したものであろう火鋏には通常ではまず見られない銀の点象嵌がふんだんに施されている。

桐図鐔 銘 久法
桐図鐔 銘 久法

 安定感のある木瓜形の四方に花弁のように州浜を配し、それらの縁を金と銀の布目象嵌で装った、京で育まれた文様文化が主題の、品位が高く美しい鐔。真鍮地は表面に微細な皺状の肌模様(注)が浮かび上がっており、埋忠明壽にもみられる特徴。金は頗る鮮やかで、銀は独特の深みのある光沢、それらの特性を活かしているのが真鍮地であろう。 保存刀装具鑑定書(埋忠)

竹虎図無貫 無銘 伝後藤乗真
竹虎図無貫 無銘 伝後藤乗真

 後藤宗家三代乗真の作と極められた、豪壮で華麗な猛虎図目貫。薄手の仕立てで打ち出しが強くふっくらと量感があり、さらに際端が絞られて立体感に溢れた、室町時代の金工作品の特徴が良く現れている作。素材の金無垢地は色合いが鮮やかで暖か味があり、一際明るく冴え冴えとしている。また、小さい金具ながら手にして重く、高位の武家の拵の備えに相応しい貫禄が備わっている。上三代の中でも乗真の作は覇気に溢れて人気が高い。  特別保存刀装具鑑定書(伝乗真)

獅子牡丹図鐔 銘 岩澤了意(花押)
獅子牡丹図鐔 銘 岩澤了意(花押)

 江戸後期 陸奥国会津 鉄石目地竪丸形高彫象嵌 縦八六・五㍉ 横八二・二㍉  切羽台厚さ四㍉  耳際厚さ二・四㍉ 上製落込桐箱入  岩澤了意は江戸後期の会津正阿弥派の代表工。表に二疋獅子を、裏に牡丹を巴状に構成したこの鐔は、獅子も牡丹も構成線が強く肉合彫風に量感があり、また躍動感に満ちている。緻密に詰んだ地鉄は微細な石目地に仕上げられて色合い黒く、金銀の象嵌が映えている。

瓢箪から駒透図鐔 無銘 京正阿弥
瓢箪から駒透図鐔 無銘 京正阿弥

 瓢箪から駒の諺を、京に栄えた正阿弥派の華麗な技法で表した作。正阿弥派は阿弥衆の流れを汲むと考えられ、歴史が古く、京の雅な風合いを鐔面に展開して隆盛し、他の地にも影響を及ぼしている。江戸時代の京正阿弥派の特徴は濃密な金布目象嵌で文様を加えるところ。この鐔でも、色合い黒々とした鉄地を肉彫に仕立て、瓢箪に桐唐草を鮮やかに加えている。

牡丹霊獣図鐔 無銘 京正阿弥
牡丹霊獣図鐔 無銘 京正阿弥

 江戸時代における南蛮鐔の流行は異国への憧れが根底にある。長崎や平戸などでの南蠻鐔は良く知られているが、想いは我が国の伝統文化に彩られた京都においても同様であった。この鐔は、宝珠を中央に鳳凰を左右対称に、下方には牡丹を布置、耳には小円を連続させている。裏は鳳凰を鯱に代えて意匠構成にも変化を持たせている。装飾技法は京において栄えた正阿弥派の金銀赤銅による濃密な布目象嵌で鮮やか。

菊花透図鐔 無銘 京正阿弥
菊花透図鐔 無銘 京正阿弥

 車透しと呼ばれる造り込みは古代からあり、時代が降ると菊花形等洗練味ある意匠へと変化したもの思われる。殊に、文化の中心地たる京都においては伝統文化の影響を受けて美観に優れた作品が多く製作された。雅な美しさを特徴とする京正阿弥に極められている。

近江八景図鐔 無銘 京献上
近江八景図鐔 無銘 京献上

 京に栄えた正阿弥派の鐔工は、江戸時代に入ると伝統的な鉄地金布目象嵌の技法を突き詰め、屏風絵を思わせる複雑に文様化された風景図を製作して高い人気を得た。それが京献上である。描かれているのは洛中洛外図や本作のような近江八景図。ここでは地透によって風景を際立たせ、金布目象嵌の表面にはさらに毛彫りや点刻、地荒しなどを加えて質感を高めている。

梅樹透図鐔 無銘 京透
梅樹透図鐔 無銘 京透

 鉄色黒々としてねっとりとした質感に包まれている作。耳の所々に光沢の強い筋状の鉄骨が現れ、地面の所々にも穏やかに盛り上がる鉄骨が浮かび上がり、掌に包むとその微妙な質感が伝わり来る。図柄は古風な意匠からなる梅樹。臥龍の如く屈曲した枝と満開の花を巧みに意匠して平面構成の美観を鮮明にしている。 特別保存刀装具鑑定書(京透)

花蕾透図鐔 無銘 京透
花蕾透図鐔 無銘 京透

 藤の花の蕾が連なる様子を円周状に文様化したものであろうか、雅な風情の漂う鐔。京透は、鉄地に細い線を組み合わせたものが多いが、本作は切羽台にも菊花風に抑揚を付けており、総体が美しい曲線からなる構成の集合となっている。蕾の一つ一つが僅かに傾いているため、これらが流れるような動きを生み出している。