明治期の廃刀令後、帝室技芸員月山貞一、菅原包則と共に作刀の伝統の一角を担った北海道室蘭製鋼所の堀井秀明。その優技を受け継いだのが大正九年生まれの嫡子信秀である。
この脇差は、現存稀な信秀の作で、しかも十八歳の若打ち。
身幅広く重ね厚く、中鋒の洗練味ある姿で、地鉄は小板目肌が詰み澄み、細やかな地景が入り、刃文に同調した丁子状の映りが地底に窺える。刃文は逆がかった丁子に互の目、二つ三つと連れた尖りごころの刃を交えて高低広狭に変化し、焼の谷から匂足盛んに入る。
茎には細かな筋違鑢が丁寧に掛けられ、銘字は父秀明に酷似している。
特別の注文打ちであろう、出来優れ、清々しい仕上がり。
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