金工三十七景
6. 自然界のいとなみ


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鯉魚図揃金具
桂永壽
Katsura Eiju





 

小柄 銘 永壽(花押)   縁頭 銘 永壽(花押)   目貫 割短冊銘 桂永壽
江戸時代後期 小柄・縁頭 赤銅魚子地高彫金色絵
小柄 長さ95ミリ 幅14ミリ  縁37ミリ 頭33ミリ
目貫 朧銀地容彫金色絵 左右40ミリ

 浮き草を掻き分け沼の中を悠々と泳ぎ廻る鯉は、その大柄で機能的な体躯、精悍な動作、鮮やかな色彩、いずれをとっても百魚の王たる貫禄があり、瀧をも上って龍となる伝説を生んだ神秘の出世魚でもある。
 この桂永壽の揃金具は、小柄と縁頭を極上質の赤銅魚子地とし、銀鱗を翻えさせて泳ぐ野性の鯉を肉彫に彫り出し、縁と小柄は泰然自若たる静、頭は水面から躍り出さんばかりの動の両様の姿態を描き、鯉には朧銀(おぼろぎん)、流水は銀、川面に自生する菱であろうか浮き草には金と、それぞれに厚く艶のある色絵を施す。これに添える目貫は、小柄と縁頭の画面に描かれた鯉そのまま抜き取ったかの感ある朧銀地の容彫で、構成上の制約から解かれて彫口は一層肉高とされ、その動きは静と動の中間姿態。いずれも主題を中央に大きく捉え、三者三様の動きが穏やかな鑚使いのなかにも克明に表現され、大宗珉(そうみん)を写し、これに肉迫した永壽の腕の程を物語っている。

注…表面が均等に揃った点の連続であるため、パソコンなどのモニターで鑑賞するとモアレが生じて不鮮明になることがあります。ご容赦ください。



著作 深海 信彦   企画 株式会社銀座長州屋
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